早稲田大学野球部を率いてきた小宮山悟監督が、2026年11月30日付で任期満了により退任することが決まった。2019年1月の就任から約8年間、東京六大学野球で4度のリーグ優勝を達成し、2024年春から2025年春にかけては3連覇という大きな実績を残した。後任には、早稲田大学OBで松商学園高校の元監督でもある足立修氏が12月1日付で就任する。
2026年10月30日現在、小宮山監督はまだ現職であり、最後の秋季リーグ戦も続いている。8月31日に開かれた退任会見では、退任理由について「任期満了」と明言。「一球入魂」を学生に伝えることに取り組んできた8年間を振り返った。ここでは、退任の経緯、監督としての成績、指導方針、2026年のチーム状況、足立新監督の経歴、そして今後の活動を整理する。
【退任理由を解説】小宮山悟監督は2026年11月30日に任期満了で退任

小宮山悟監督の退任は、2026年8月28日に早稲田大学から発表された。退任日は11月30日。翌12月1日から足立修氏が新監督としてチームを引き継ぐ。
今回の交代で最も重要なのは、退任理由が任期満了であるという点だ。小宮山監督は2019年1月に早稲田大学野球部の第20代監督に就任。2024年8月には再任が発表され、2024年12月1日から2026年11月30日までの2年間の任期が設定されていた。
つまり、今回の退任は再任時に定められた任期の終了に伴うものだ。大学側から成績不振による解任や、指導上の問題を理由とする退任が発表されたわけではない。
8月31日、早稲田大学の大隈会館で開かれた退任会見では、小宮山監督自身も退任理由について明確に説明している。
「任期満了の以上でも、以下でもございません」
この発言は、退任の背景を理解するうえで重要だ。2024年から2025年にかけて3連覇を達成した指揮官が、成績上の問題で突然交代するという話ではない。
なぜリーグ戦前に退任を公表したのかもう一つ注目したいのが、発表のタイミングである。2026年秋季リーグ戦の開幕は9月12日だったが、大学はその前の8月28日に監督交代を公表した。
小宮山監督は8月31日の会見で、後任人事をめぐる報道や憶測が学生に与える影響を懸念していたと説明。自身が監督に就任した際にも後任をめぐる話題が選手に影響することを経験していたため、リーグ戦が始まる前に交代を公表し、余計な雑音を遮断したかったという。
これは単なる人事発表ではなく、最後のシーズンを戦う選手たちの集中力を守るための判断でもあった。小宮山監督にとって、退任をめぐる話題よりも、選手が目の前の試合に集中できる環境を整えることが優先だったと読み取れる。
【8年間の実績】東京六大学リーグ4度の優勝と3連覇を達成
小宮山監督の指導期間を振り返ると、最大の実績は東京六大学野球リーグでの4度の優勝だ。
2019年の就任当初は春季、秋季ともに3位。翌2020年秋に最初のリーグ優勝を果たした。その後は苦しいシーズンも経験したが、2024年に再び優勝争いを制し、2025年春まで3季連続で頂点に立った。
特に2024年春、2024年秋、2025年春の3連覇は、監督としての実績を象徴する出来事だ。早稲田大学野球部の公式年度別記録と、東京六大学野球の大会記録を整理すると、次のようになる。
小宮山監督の年度別リーグ成績| 年度・シーズン | 早大の成績 | 関連する出来事・実績 |
|---|---|---|
| 2019年 | 春3位・秋3位 | 第20代監督として指揮を開始 |
| 2020年 | 春3位・秋優勝 | 就任後初のリーグ優勝 |
| 2021年 | 春5位・秋2位 | 新型コロナ禍を経たリーグ戦 |
| 2022年 | 春5位・秋2位 | 優勝には届かず、再建を継続 |
| 2023年 | 春4位・秋3位 | 次の優勝に向けたチームづくり |
| 2024年春 | 優勝 | 第73回全日本大学野球選手権大会で準優勝 |
| 2024年秋 | 優勝 | 明治大学との優勝決定戦を制し、春秋連覇 |
| 2025年春 | 優勝 | 明治大学との優勝決定戦を制し、リーグ3連覇 |
| 2025年秋 | 2位 | 優勝争いを経験したチームが2位で終了 |
| 2026年春 | 5位 | 4勝8敗1分。天覧試合の早慶戦では勝利 |
| 2026年秋 | 4位(10月29日時点) | 5勝5敗、勝ち点2。早慶戦を残す |
※2026年秋季リーグ戦の順位は10月29日終了時点の記録。シーズン終了後の最終順位ではない。
3連覇を決定づけた明治大学との戦い2024年春から2025年春にかけての3連覇は、小宮山体制の象徴的な成果だ。
2024年は春季リーグを制しただけでなく、全日本大学野球選手権大会でも決勝に進出。全国大会では準優勝だったものの、東京六大学の枠を超えて早稲田の存在感を示した。
さらに2024年秋には明治大学との優勝決定戦を制して春秋連覇。2025年春も明治大学との優勝決定戦を勝ち抜き、3連覇を達成した。
小宮山監督は8月31日の会見で、3連覇を決めた優勝決定戦を印象深い試合として挙げている。加えて、2025年5月19日の明治大学戦で伊藤樹投手が達成したノーヒットノーランも、特に記憶に残る出来事として振り返った。
伊藤投手は現在、東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーしている。大学野球での成果をプロ選手の育成にもつなげたことは、小宮山体制を評価するうえで欠かせない要素だ。
【指導方針の核心】小宮山悟監督が貫いた「一球入魂」と厳しい指導
小宮山監督の指導を語るうえで欠かせない言葉が「一球入魂」だ。
これは早稲田大学野球部に受け継がれてきた教えであり、一球一球に集中し、目の前のプレーに全力を尽くすという精神を表している。
2026年8月31日の退任会見で、小宮山監督は自身の8年間を振り返り、早稲田の教えを学生に植え付けることが仕事だったと説明した。
監督就任時に重視したのは、単純に試合に勝つことだけではなかった。選手の日常の練習やチームの姿勢を見て、まず早稲田大学野球部の一員としてふさわしい行動ができるようにする必要性を感じたという。
技術だけでなく精神面を鍛える指導小宮山監督はプロ野球で長年プレーした経験を持つ。その経験から、試合の技術だけでなく、苦しい局面で踏ん張る精神力や、チームとしての責任感を重視してきた。
報道によると、現代の学生に対しては、時に厳しい言葉を使いながら、簡単には折れない強い心を育てる指導を行っていた。
ただし、その指導の目的は厳しさそのものではない。選手が卒業後に社会へ出た際、早稲田大学野球部で何を学んだのかを自信を持って説明できるようにすることだった。
選手自身に考えさせる采配も特徴興味深いのは、小宮山監督がすべてを指示するタイプの指導者ではなかったことだ。
会見では、監督就任後最初の東京大学戦を印象的な采配として挙げている。その試合では、加藤雅樹主将ら選手に自分たちで考えて野球をするよう伝え、監督自身は積極的に介入しない姿勢を取ったという。
また、2026年春の早慶戦で2本塁打を記録した霜結太選手の活躍にも言及した。普段から注目される選手だけでなく、これまで知られていなかった選手が活躍することにも喜びを感じていた。
こうしたエピソードから見えるのは、規律を重視しながらも、最終的には選手が自分で考え、判断できるチームを目指していた姿勢だ。
【2026年最新成績】最後の秋季リーグ戦と早慶戦の行方
小宮山監督にとって最後のシーズンとなる2026年は、必ずしも順風満帆ではない。
春季リーグ戦は4勝8敗1分で5位。優勝した慶應義塾大学には届かなかったが、5月31日に行われた天覧試合の早慶戦では、早稲田が5対4で勝利した。
小宮山監督は退任会見で、この天覧試合を特別な思い出として語っている。試合そのものだけでなく、両校の選手が天皇陛下を迎え、試合後に見送った経験も印象に残ったという。
2026年秋季リーグ戦の早稲田の順位最後の秋季リーグ戦は9月12日に開幕した。東京六大学野球公式記録室の10月29日終了時点の順位表では、早稲田大学は5勝5敗、勝ち点2、勝率5割で4位につけている。
順位表では立教大学と同じ勝ち点2、勝率5割で並んでいる。優勝を目指す最後のシーズンとしては、厳しい戦いが続いている状況だ。
2026年秋季リーグ戦の主な状況は次のとおり。
- 開幕日:2026年9月12日
- 10月29日時点の早大成績:5勝5敗
- 勝ち点:2
- 勝率:.500
- 順位:4位
- 最後の早慶戦:11月7日、8日予定
- 小宮山監督の退任日:11月30日
早慶戦は小宮山監督の最後の指揮を象徴する試合になる。2026年春には天覧試合で慶應に勝利した一方、春季リーグ全体では5位に終わった。秋の早慶戦でどのような結果を残すかは、8年間の指導を振り返るうえでも大きな注目点だ。
なお、10月30日時点では秋季リーグ戦は終了していない。最終順位や最後の早慶戦の結果を、すでに確定した事実として扱うことはできない。
【後任・足立修氏とは】早稲田OBで松商学園を率いた新監督の経歴
小宮山監督の後を継ぐのは、早稲田大学OBの足立修氏だ。2026年12月1日付で新監督に就任することが発表されている。
足立氏は長野県の松商学園高校から早稲田大学へ進学。大学時代は投手として東京六大学リーグ戦で通算19勝を記録した実績を持つ。
足立修氏の主な野球経歴- 高校時代:長野県の松商学園高校でプレー。
- 大学時代:早稲田大学野球部に所属し、投手としてリーグ戦通算19勝。
- 社会人時代:プリンスホテルに所属。投手から野手へ転向。
- 社会人指導者時代:監督として日本選手権に2度、都市対抗野球に2度出場するチームを率いた。
- 2011年以降:母校の松商学園高校野球部監督に就任。
- 高校野球での実績:春夏合わせて3度の甲子園出場。2021年夏にはベスト16に進出。
- 2026年12月1日:早稲田大学野球部の新監督に就任予定。
両者は早稲田大学野球部出身という共通点を持つが、指導者として歩んできた道には違いがある。
小宮山監督はプロ野球とメジャーリーグでの経験を持ち、投手としての知識や試合の組み立て方を大学野球に還元してきた。一方、足立氏は社会人野球と高校野球で指導経験を積み、選手の育成やチーム運営に携わってきた。
特に松商学園での甲子園出場経験は、選手の成長段階に合わせた指導という点で注目される。
早稲田大学野球部にとっては、大学野球の伝統を理解するOBが指揮を引き継ぐ形になる。小宮山監督が重視してきた「一球入魂」の精神をどう受け継ぎ、足立氏自身の指導経験をどのように融合させるかが、新体制の見どころとなる。
【現役時代と2026年の現在】ロッテで117勝を挙げた名投手の今後
小宮山悟監督を理解するには、現役時代の実績も欠かせない。
1965年9月15日生まれ。芝浦工業大学柏高校から早稲田大学に進学し、大学時代は東京六大学リーグで通算20勝を記録した。1989年のドラフト1位でプロ入りし、1990年にロッテでプロ野球選手としてのキャリアをスタートさせた。
プロ野球通算成績は117勝141敗4セーブ小宮山氏は千葉ロッテマリーンズを中心に、横浜ベイスターズでもプレー。さらに米大リーグのニューヨーク・メッツにも所属した経験を持つ。
日本野球機構(NPB)の公式年度別成績によると、日本プロ野球での通算成績は次のとおりだ。
- NPB通算登板:455試合
- 通算勝利:117勝
- 通算敗戦:141敗
- 通算セーブ:4セーブ
- 通算防御率:3.71
- MLB通算成績:0勝3敗
特に知られているのは、正確なコントロールと緻密な配球を武器にした投球スタイルだ。力任せではなく、打者の特徴や状況を読みながら勝負する投手として長く活躍した。
こうした現役時代の経験は、大学野球の指導にも生かされた。投手の心理や配球、試合の流れを理解したうえで選手に助言できることは、小宮山監督ならではの強みだった。
退任後の活動はどうなる?気になるのは、2026年12月以降の小宮山氏の活動だ。
2026年8月31日の退任会見では、今後について具体的な進路は未定と説明。一方で、野球以外の仕事で生計を立てるつもりはないという趣旨の発言をしており、今後も野球界への関与を続ける意向を示している。
ただし、次の監督職や球団への就職、解説者としての活動など、具体的な役職が決定したという公式発表はない。
2026年10月30日現在、小宮山氏は11月30日まで早稲田大学野球部の監督を務める立場にある。12月以降については、正式な発表を待つ必要がある。
【小宮山悟監督に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:小宮山悟監督の退任理由は何ですか?
A1:2026年11月30日付の任期満了です。2026年8月31日の退任会見で本人が「任期満了の以上でも、以下でもございません」と説明しています。成績不振による解任という発表ではありません。
Q2:小宮山悟監督の8年間の実績は何ですか?
A2:東京六大学野球リーグで4度の優勝を達成しました。特に2024年春、2024年秋、2025年春の3連覇が大きな実績です。また、2024年の全日本大学野球選手権大会では準優勝しています。
Q3:小宮山悟監督の後任は誰ですか?
A3:早稲田大学OBの足立修氏です。松商学園高校の元監督で、2021年夏の甲子園ではベスト16に進出しました。2026年12月1日付で早稲田大学野球部の新監督に就任する予定です。
Q4:小宮山悟監督は2026年現在、何をしていますか?
A4:2026年10月30日時点では、早稲田大学野球部の監督として最後の秋季リーグ戦を指揮しています。11月30日付で退任する予定で、退任後の具体的な活動はまだ公表されていません。
Q5:小宮山悟氏のプロ野球通算成績は?
A5:NPB通算455試合に登板し、117勝141敗4セーブ、防御率3.71を記録しています。ロッテや横浜でプレーしたほか、ニューヨーク・メッツでのメジャーリーグ経験もあります。
小宮山悟監督の退任は、2026年11月30日の任期満了によるものだ。2019年1月の就任から約8年間、東京六大学野球で4度の優勝を成し遂げ、2024年春から2025年春にかけての3連覇という大きな成果を残した。
一方、8年間の戦績は優勝だけでは語れない。2021年から2023年にかけての苦しい時期を経験し、2024年に再び頂点へ到達した。そして、伊藤樹投手のノーヒットノーランや、プロ野球選手となった卒業生の存在は、選手育成の面でも成果があったことを示している。
小宮山監督が繰り返し伝えてきた「一球入魂」は、単なるスローガンではない。目の前のプレーに責任を持ち、苦しい状況でも簡単には諦めず、自分で考えて行動するという早稲田の野球文化を学生に伝える取り組みだった。
今後の監督評価を考える際には、優勝回数だけでなく、選手の成長、卒業後の進路、チームに残した文化という3つの視点も欠かせない。大学野球は選手が数年で入れ替わる競技だからこそ、監督が残した指導理念の価値は大きい。
12月1日からは足立修新監督が新たなチームづくりを担う。小宮山体制が築いた伝統を受け継ぎながら、社会人野球と高校野球で培った指導経験をどう生かすのか。早稲田大学野球部にとって、2026年は一つの時代の節目であると同時に、新しい時代の出発点にもなる。
小宮山悟監督の最後の早慶戦、そして足立新監督の初陣は、今後の早稲田大学野球部を占う重要な節目となりそうだ。
主な確認資料: 早稲田大学競技スポーツセンターの退任会見全文、早稲田大学野球部の年度別記録、日本野球機構の公式選手成績、東京六大学野球連盟の2026年大会記録、足立修氏の経歴に関する報道を参照しています。