閉会式は、単に大会の終了を知らせるためのイベントではない。オリンピックが掲げる平和、友情、相互理解といった理念を、競技の結果とともに世界へ伝える役割がある。
IOCは式典について、音楽、歌、ダンスなどを通じて開催国の文化を紹介するものと説明している。また、決められた儀礼を組み込むことで、大会ごとに異なる演出の中にも共通の象徴性を持たせている。
閉会式が果たす4つの役割1. 選手の努力をたたえる
メダルを獲得した選手だけでなく、目標に届かなかった選手や競技を完走した選手にも敬意を示す。閉会式の選手団パレードは、国籍や順位を超えて同じ大会を戦った仲間として集まる象徴的な時間だ。
2. 開催国の文化を世界へ発信する
音楽、舞踊、建築、映画、伝統芸能などを通じて、その国ならではの魅力を紹介する。2026年のイタリアでは、オペラやバレエ、現代音楽が一つの物語に統合された。
3. 次回大会へオリンピックの理念を引き継ぐ
五輪旗の引き継ぎは、開催地が変わってもオリンピック運動が続いていくことを表す。次回開催地の紹介演出は、その地域が世界に向けて最初のメッセージを発信する機会でもある。
4. 大会の記憶を共有する
聖火の消灯や最後の音楽は、競技の結果だけでは語れない大会全体の記憶を締めくくる。開催地域の人々、選手、観客が一緒に過ごした時間を、一つの歴史として残す役割がある。
よくある誤解と実際の仕組み| よくある誤解 | 実際の仕組み |
|---|---|
| 開会式と同じ会場で行う | 別会場で開催する場合もある |
| 閉会式は開催国のショーだけ | IOCの儀礼と開催国独自の演出を組み合わせる |
| 五輪旗は次の夏季大会に渡す | 夏季大会と冬季大会はそれぞれ次回の同種大会へ継承する |
| 聖火は必ず閉会式の舞台で消す | 大会の聖火台の設置場所に応じて消灯方法が異なる |
| メダリストだけが主役 | 参加選手、ボランティアなども式典の重要な存在 |
2026年の事例は、こうした誤解を解くうえでも興味深い。開会式はミラノのサン・シーロ・スタジアムを中心に開催され、閉会式はヴェローナ・アリーナで実施された。また、聖火の消灯はミラノとコルティナの2か所で行われている。
【プロの結論】閉会式は「過去・現在・未来」をつなぐ舞台閉会式を深く理解するためには、次の3つの視点で見るとよい。
- 過去: 開催国が大会期間中に積み重ねた文化的・歴史的な物語
- 現在: 選手や関係者が共有した挑戦、友情、感動
- 未来: 五輪旗の引き継ぎによって始まる次回大会への期待
2026年の「Beauty in Action」が印象的だったのは、この3つをイタリアの歴史的建造物、スポーツの身体表現、フランスアルプスへの継承という異なる要素で結び付けた点にある。
閉会式を視聴する際は、出演者の知名度や演出の豪華さだけで評価するのではなく、なぜその場所で、その音楽や演出が選ばれたのかに注目すると、式典の本質が見えてくる。
【次回開催地はどこ?】フランスアルプス2030とロサンゼルス2028の展望

ミラノ・コルティナ2026の閉会式を経て、オリンピックは次の開催地へと引き継がれた。
ここで押さえておきたいのが、冬季大会と夏季大会では次回開催地が異なるという点だ。
冬季大会の次回開催地はフランスアルプス2030は、2030年2月1日から17日まで開催される予定の冬季オリンピックだ。
ミラノ・コルティナ2026と同様、フランスの複数地域に競技会場を配置する広域開催モデルが採用されている。
大会を担う組織委員会の中心人物として、元アルペンスキー選手のエドガー・グロスピロンが会長を務める。
IOCが公表した最新の準備状況では、競技会場のマスタープランや競技プログラムが具体化し、地域社会との連携や持続可能性に関する取り組みも進められている。
2026年の閉会式で行われた五輪旗の引き継ぎは、単なるセレモニーではなく、フランス側が2030年大会の準備を世界に向けて本格的に示す最初の機会となった。
夏季大会はロサンゼルス2028へは、2028年7月14日から30日まで開催される予定だ。
LA28の公式発表では、開会式と閉会式の会場・時間について、次のように案内されている。
| 項目 | 開催日 | 会場・現地時間 |
|---|---|---|
| 開会式 | 2028年7月14日 | LAメモリアル・コロシアムとイングルウッドの2028スタジアムで共同開催・17時PT |
| 閉会式 | 2028年7月30日 | LAメモリアル・コロシアム・18時PT |
開会式は2会場を使う異例の構成で、ロサンゼルスの都市文化とスポーツ施設を組み合わせた式典になる。
制作体制については、2025年10月にベン・ウィンストンが式典のエグゼクティブプロデューサー兼クリエイティブディレクターに選ばれた。制作会社にはFulwell EntertainmentとFiveCurrentsの共同事業体FulFiveが起用されている。
パリ2024からロサンゼルスへの引き継ぎ演出を手掛けた経験が、次の式典制作にも生かされる見込みだ。
2028年と2030年、次の閉会式で注目したいポイント今後のオリンピック閉会式を楽しむなら、次の3点を比較すると面白い。
1. 会場の個性: 歴史的建造物を使うのか、近代的なスタジアムを中心にするのか。
2. 開催国の文化表現: 音楽、映画、伝統芸能、最新テクノロジーをどう組み合わせるのか。
3. 次回開催地への継承: 五輪旗の引き継ぎと、次の開催地が発信するメッセージにどのような特徴があるのか。
ミラノ・コルティナ2026がイタリアの歴史と芸術を前面に押し出したのに対し、ロサンゼルス2028ではエンターテインメント産業を背景にした演出も注目される。
冬季大会ではフランスアルプス2030が、山岳地域の自然環境とスポーツの共存をどう表現するかが大きな見どころになる。
オリンピック閉会式に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年のオリンピック閉会式はいつ、どこで開催されましたか?
A1:2026年2月22日、イタリアのヴェローナ・アリーナで開催されました。現地時間20時30分開始で、日本時間では2月23日午前4時30分に当たります。
Q2:2026年の閉会式のテーマ「Beauty in Action」とは何ですか?
A2:「動きの中に宿る美」を意味するテーマです。スポーツ、芸術、音楽、ダンス、自然、人間同士のつながりを一つの物語として表現しました。芸術監督はアルフレード・アッカティーノ、出演者にはロベルト・ボッレが名を連ねました。
Q3:オリンピックの五輪旗は次回開催地のどこへ引き継がれましたか?
A3:2026年の冬季大会では、次回開催地のフランスアルプス2030へ引き継がれました。IOC会長カースティ・コベントリーから、フランスのプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏とオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏の代表者に渡されました。
2026年2月22日に開催されたミラノ・コルティナ冬季オリンピックの閉会式は、ヴェローナ・アリーナを舞台にした「Beauty in Action」によって、イタリアの文化とスポーツの魅力を世界に伝えた。
ロベルト・ボッレの芸術表現、アルフレード・アッカティーノが率いた制作チーム、オペラや現代音楽を組み合わせた演出は、閉会式を単なる大会終了のイベントではなく、開催国の文化を象徴する舞台へと発展させた。
加えて、フランスアルプス2030への五輪旗引き継ぎと、ミラノ・コルティナの2つの聖火台の消灯によって、2026年大会の終わりと次の冬季大会への出発が明確に示された。
オリンピック閉会式の本当の見どころは、華やかな演出だけではない。選手の努力をたたえ、開催国の歴史を伝え、次の開催地へ未来を託すという3つの役割にある。
2028年のロサンゼルス、2030年のフランスアルプスへと続く五輪の物語。次回の閉会式では、どのような文化が表現され、どんな形で次の開催地へバトンが渡されるのかにも注目したい。