大相撲の解説を聞いていて、最初に戸惑いやすいのが親方の名前だ。現役時代には有名な四股名で活躍していた力士が、引退後はまったく違う名前で紹介されることがある。
例えば、元大関栃東は玉ノ井親方、元大関魁皇は浅香山親方、元関脇嘉風は中村親方として知られている。これは引退後に年寄名跡を襲名する制度があるためだ。
年寄名跡とは何か年寄名跡とは、日本相撲協会で年寄として活動する際に名乗る名前のこと。一般には「親方株」とも呼ばれる。
現役力士が引退した後、所定の資格を満たして年寄名跡を襲名すると、協会の年寄として後進の指導や相撲協会の業務に携わることができる。
日本相撲協会の定款第47条では、年寄名跡を協会が管理すると定めている。退任する年寄は後継者を推薦できるが、その推薦は退任後5年以内に限られる。襲名の適否は年寄資格審査委員会の審査を経て、理事会が決定する仕組みだ。
また、同条では年寄名跡の襲名や推薦に関する金銭等の授受を禁止している。つまり、親方の名前は単なる芸名や自由に選べるニックネームではなく、協会の制度に基づいて継承されるものだ。
現役時代の四股名と現在の親方名の対応例日本相撲協会の公式年寄一覧には、現在の年寄名と引退時の四股名が併記されている。2026年の解説担当者を理解するうえでも、この対応関係を覚えておくと便利だ。
- 浅香山親方:元大関・魁皇
- 朝日山親方:元関脇・琴錦
- 玉ノ井親方:元大関・栃東
- 藤島親方:元大関・武双山
- 芝田山親方:第62代横綱・大乃国
- 西岩親方:元関脇・若の里
- 君ヶ濱親方:元関脇・隠岐の海
- 押尾川親方:元関脇・豪風
- 中村親方:元関脇・嘉風
- 湊川親方:元大関・貴景勝
- 北陣親方:元小結・遠藤
- 岩友親方:元関脇・碧山
これらの対応は、日本相撲協会の公式年寄一覧で確認できる。親方名だけで検索するよりも、「玉ノ井親方(元栃東)」のように両方の名前を組み合わせると、現役時代の記録や解説出演歴を調べやすい。
なお、NHK専属解説者の舞の海さんや琴風さんのように、協会の年寄名跡を現在の肩書きとして使っていない人物もいる。全員が引退後に親方として協会に残るわけではない点も押さえておきたい。
【今日の解説者を調べる方法】NHK番組表とNHKクロニクルの使い分け

「今日の大相撲解説者は誰?」「明日の正面解説はどの親方?」という疑問を解決するには、放送予定と過去の出演記録を分けて調べるのが効率的だ。
1.NHKのテレビ番組表・EPGで確認する最も手軽なのは、テレビの電子番組表(EPG)だ。
番組表から当日の大相撲中継を選び、出演者や番組詳細を確認すれば、実況アナウンサーと解説者の名前を確認できる。総合テレビだけでなく、BSの放送枠も調べると、幕下以下や十両の解説者まで把握しやすい。
2.NHKの大相撲番組情報を確認するNHKの大相撲関連番組情報では、場所ごとの放送予定や当日の放送内容を確認できる。テレビとラジオは担当者が異なる場合があるため、視聴する媒体を間違えないようにしたい。
ラジオ放送については、NHKの「らじる★らじる」の番組情報も確認先になる。
3.NHKクロニクルで過去の解説者を調べる過去の解説者を調べるなら、NHKアーカイブスの「NHKクロニクル」が役立つ。
NHKクロニクルは、過去のNHK番組表を検索できるサービスだ。国立国会図書館のリサーチ・ナビによると、総合テレビは1953年1月1日以降、教育テレビは1959年1月10日以降、衛星放送は1984年5月12日以降の番組表を検索対象としている。
検索するときは、次のような手順が便利だ。
- NHKクロニクルの番組表ヒストリーを開く。
- 検索欄に「大相撲中継」などの番組名を入力する。
- 調べたい場所や放送年月日を指定する。
- 該当する番組の詳細を開き、出演者情報を確認する。
例えば、北の富士勝昭さんが出演していた時代の放送記録を調べたり、2026年初場所と春場所の担当者を比較したりする使い方ができる。
ただし、NHKクロニクルは過去の番組表を調べるための資料であり、今日の出演予定をリアルタイムで確認するサービスではない。現在の担当者を知りたい場合はEPGや当日のNHK番組情報、過去の担当者を調べたい場合はNHKクロニクルという使い分けが適切だ。
2026年11月場所の確認ポイント2026年11月場所(九州場所)は、11月8日から11月22日までの15日間、福岡国際センターで開催される予定だ。
2026年11月2日時点では場所の開幕前に当たる。実際の担当者は場所ごとの放送予定で確認し、急な変更が生じた場合は当日の番組表を優先したい。
「今日の相撲解説者」を検索する場合は、単に「大相撲 解説者」と入力するより、「2026年11月場所 NHK 正面解説」「今日の大相撲 ラジオ解説」のように、場所・媒体・担当位置を組み合わせると目的の情報を見つけやすい。
【NHK・ラジオ・ABEMAを比較】歴代解説者と放送媒体ごとの特徴
大相撲の解説はNHKのテレビ中継だけではない。NHKラジオやABEMAでも独自の放送体制が組まれており、解説者の選び方や番組の見せ方に違いがある。
NHKラジオ解説はテレビと別の担当者NHKラジオ第1の大相撲中継では、テレビとは異なる解説者が担当することがある。2026年三月場所でも、初日は朝日山親方、二日目は稲川親方、三日目は立浪親方、四日目は錣山親方が解説を担当した。
テレビのように正面と向正面の2席を使うのではなく、ラジオは原則として1人の解説者が放送を通して担当する形式だ。映像がない分、立ち合いの力の方向や組み手、決まり手に至る過程を言葉で説明することが求められる。
テレビでは映像を見れば理解できる場面も、ラジオでは解説者の言葉が観戦の手掛かりになる。取組の細かい技術をじっくり聞きたい人には、ラジオならではの魅力がある。
ABEMA大相撲解説は花田虎上が中心ABEMAではNHKとは異なる解説体制を採用している。
2025年5月、元横綱若乃花の花田虎上さんが「ABEMA大相撲」の専属解説者に就任した。2026年の番組情報でも、週末を中心に専属解説者として出演している。
ABEMAの特徴は、序ノ口から幕内まで幅広い取組を配信し、スマートフォンやパソコンでも観戦しやすいことだ。放送内容によっては現役の親方やゲストも参加し、技術解説に加えて、相撲の魅力を幅広い視聴者に伝える構成になっている。
NHKが長年培ってきた実況と解説の伝統的なスタイルに対し、ABEMAは配信ならではの視聴体験や企画を取り入れている。どちらが優れているという話ではなく、観戦者が求める情報によって使い分けられる。
歴代大相撲解説者にはどんな人物がいた?NHKの相撲解説には、長い歴史がある。2026年の現役解説者だけでなく、過去に放送席を支えてきた人物を知ると、中継の変遷も見えてくる。
- 神風正一さん:NHK大相撲中継の初期を支えた元関脇。1953年から1986年まで解説を担当したとされる。
- 玉の海梅吉さん:元関脇で、1957年から1982年まで解説を担当した歴代の代表的な解説者。
- 若瀬川忠男さん:元小結。1985年から1991年まで解説を担当。
- 出羽錦忠雄さん:元関脇。1990年から1999年まで解説を担当。
- 北の富士勝昭さん:第52代横綱。1998年から2024年までNHK解説者として活躍した。
- 舞の海秀平さん:元小結。2000年から解説者として活動を続ける。
- 琴風浩一さん:元大関。2024年11月からNHK解説者に加わった。
とりわけ北の富士さんは、歯に衣着せぬ発言とユーモアのある語り口で知られた。舞の海さんとの掛け合いもNHK中継の名物となり、力士の技術だけでなく、勝負への姿勢や相撲界の背景まで語る解説が親しまれた。
北の富士さんは2024年11月12日に82歳で亡くなった。長年の放送を通じて築かれた存在感は大きく、琴風さんが新たに加わった2024年11月は、NHKの解説体制にとって一つの転換点となった。
歴代の解説者を調べる際には、現在の専属解説者、協会所属時代の親方、退職後の放送活動を区別することが大切だ。同じ人物でも、時期によって肩書きや名前が変わることがある。
【プロの結論】大相撲解説親方を知ると中継の面白さが変わる
大相撲の解説者を理解するうえで、最も大切なのは「誰が話しているか」だけでなく、「どのような相撲を経験してきた人なのか」を見ることだ。
同じ取組を見ても、押し相撲を得意とした親方と、四つ相撲を得意とした親方では、注目するポイントが異なる。小兵力士として活躍した舞の海さんなら、体格差を克服する技術や工夫に目が向きやすい。元大関の琴風さんなら、左四つや寄りの攻防など、実戦で培った視点が解説に反映される。
解説者を選ぶときは、次の3つの判断基準を意識すると観戦がより充実する。
- 技術を深く知りたい人:現役時代の得意技や取り口が、現在の力士の相撲にどう生きているかを語れる親方に注目する。
- 相撲初心者:専門用語をかみ砕き、立ち合いから勝負が決まるまでを順序立てて説明してくれる解説者が向いている。
- 相撲界の歴史や背景を知りたい人:協会運営や部屋の指導経験も持つ親方の解説を聞くと、土俵外の事情まで理解しやすい。
一方、解説者の知名度だけで内容の正確さや優劣を判断するのは避けたい。現役時代の実績が大きくても、解説の得意分野はそれぞれ異なるからだ。技術、戦術、力士の心理、相撲界の歴史など、何を知りたいかによって聞きどころは変わる。
また、親方が放送席に出ていないからといって、相撲協会で重要な仕事をしていないわけではない。審判や部屋の指導、協会の役職などを担っている場合もある。解説への出演回数は、親方としての実績や評価を直接示す数字ではない。
【大相撲解説親方に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:2026年のNHK大相撲中継の専属解説者は誰ですか?
A1:2026年時点では、元小結の舞の海秀平さんと元大関の琴風浩一さんが専属解説者として知られています。これに日本相撲協会の親方が日替わりで加わります。
Q2:正面解説と向正面解説はどちらが偉いのですか?
A2:上下関係を示す区分ではありません。正面は実況アナウンサーと並ぶメインの解説席、向正面は反対側から別の視点を伝える席です。
Q3:親方の現役時代の四股名はどうすればわかりますか?
A3:日本相撲協会公式サイトの「年寄一覧」で確認できます。現在の親方名と引退時の四股名、最高位が掲載されています。
Q4:今日の大相撲解説者はどこで確認できますか?
A4:NHKのテレビ番組表(EPG)や大相撲の番組情報で確認できます。過去の出演者を調べる場合はNHKクロニクルが便利です。ラジオはNHKの「らじる★らじる」も確認先になります。
Q5:NHKとABEMAでは解説者が違うのですか?
A5:異なります。NHKは舞の海秀平さん、琴風浩一さん、協会所属の親方などが中心です。ABEMAは元横綱若乃花の花田虎上さんが専属解説者として出演し、現役親方やゲストも加わる放送体制です。
Q6:親方は全員NHKの解説を担当するのですか?
A6:いいえ。親方の本来の仕事や協会内の担当業務があるため、全員が出演するわけではありません。場所や日程によって解説者の顔ぶれは変わります。
2026年の大相撲解説は、NHK専属解説者の舞の海秀平さんと琴風浩一さんを軸に、日本相撲協会の親方が交代で出演する体制が中心となっている。
正面解説と向正面解説は放送席の位置による区分であり、上下関係ではない。親方の現役時代の四股名と現在の年寄名を結び付ければ、解説者の経歴や得意とする相撲も理解しやすくなる。
2026年の初場所・春場所では、玉ノ井親方、浅香山親方、中村親方、湊川親方、北陣親方など、多彩な経歴を持つ親方が放送席に登場した。さらにNHKラジオやABEMAにも独自の解説者がいるため、媒体を変えて観戦する楽しみ方も広がっている。
今日の担当者を知りたいときはNHKの番組表、過去の解説者を調べたいときはNHKクロニクル、親方の経歴を確認したいときは日本相撲協会の公式年寄一覧。この3つを使い分ければ、解説者に関する疑問の多くを解決できる。
土俵の上で繰り広げられる勝負だけでなく、その一番をどう読み解くかにも注目したい。解説する親方の現役時代を知ることは、力士の技術や相撲の歴史を知ることにもつながる。次の本場所では、ぜひ放送席の顔ぶれにも目を向けてほしい。