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【DSM-5・ICD-11ではどう扱われる?】集合体恐怖症は正式な病気なのか

三枝 朋樹 三枝 朋樹 • 更新: • 公開: • 読了約 13 分
目次

集合体恐怖症について議論するとき、必ず出てくるのが「医学的に認められているのか」という疑問です。

インターネット上では「DSM-5に載っていないから病気ではない」という意見も見られますが、これは診断基準の仕組みを正しく理解していない可能性があります。

DSM-5・DSM-5-TRに独立した病名はある?

アメリカ精神医学会(APA)が発行するDSM-5およびDSM-5-TRでは、集合体恐怖症という名称が独立した診断カテゴリーとして設けられているわけではありません。

ただし、DSM-5は世の中に存在する恐怖症をすべて列挙する方式ではなく、症状や生活への影響などの診断基準によって分類する仕組みです。

そのため、集合体に対する反応が特定の恐怖症の基準を満たす場合、専門家が「特定の恐怖症」として評価する可能性があります。

主な判断要素は以下のとおりです。

- 特定の対象や状況に対して強い恐怖・不安がある。
- 対象に接すると、ほぼ毎回すぐに不安反応が生じる。
- 実際の危険性に比べて反応が著しく強い。
- 対象を避ける、または強い苦痛を感じながら耐える。
- 恐怖や回避によって日常生活に支障が出る。
- 症状が通常6か月以上続いている。

単に集合体の画像が嫌いというだけでは、診断基準を満たすことにはなりません。

ICD-11ではどのように分類される?

世界保健機関(WHO)が定める国際疾病分類ICD-11にも、集合体恐怖症だけを対象とする独立した分類はありません。

一方、関連する分類として「特定の恐怖症(Specific phobia)」があります。

ICD-11 分類コード:6B03

この分類では、特定の対象や状況に対する過度な恐怖・不安が持続し、回避行動や著しい苦痛、生活機能への影響を伴うことが重視されます。

WHOは2024年3月に精神・行動・神経発達症に関する臨床記述と診断要件をまとめた資料を公表しており、2026年10月時点ではICD-11の2026年1月版が最新リリースです。

嫌悪感と医学的な恐怖症は何が違う?
比較項目 一般的な嫌悪感 臨床的な恐怖症としての反応
感情 気持ち悪い、見たくない 強い恐怖や不安、嫌悪
身体反応 一時的な鳥肌など 動悸、吐き気、強い身体的不快感など
持続性 見なければ落ち着くことが多い 長期間続く場合がある
回避行動 好みで避ける 強い苦痛を避けるため生活上の制限が生じる
生活への影響 通常は限定的 仕事、学校、社会生活などに支障が出る場合がある

この区別を理解すれば、「集合体が苦手なだけで病気扱いするのはおかしい」という批判と、「集合体を見ると本当に体調が悪くなる」という当事者の説明が、必ずしも矛盾しないことが分かります。

【集合体恐怖症のSNSでの評判】批判される真相と注意喚起の問題点

集合体恐怖症うざい

集合体恐怖症がSNSで話題になると、当事者への共感と批判が同時に生まれます。

その背景には、画像の閲覧環境と、インターネット特有のコミュニケーションの問題があります。

SNSで意見が分かれる3つのポイント

① 注意喚起があること自体への賛否

苦手な人にとって、突然表示される集合体画像は避けにくい刺激です。

特にタイムラインでは、投稿者を選んで画像を見ているわけではありません。

そのため、画像の前に「集合体注意」「閲覧注意」と表示してほしいという希望には、合理的な理由があります。

一方、投稿する側からすると、どこまで注意喚起すればよいのか分かりにくいという問題もあります。

② 集合体恐怖症を名乗る人への疑問

SNSでは、単に気持ち悪い画像を見たくないだけなのに、集合体恐怖症という言葉を使っている人がいるのではないか、という疑問も生じます。

実際には、軽い嫌悪感から日常生活に影響するほどの強い症状まで、反応の程度には幅があります。

すべてを同じものとして扱うと、症状の重い人の苦痛が軽視される一方、軽い苦手意識まで医学的な病気のように扱われる問題が起きます。

③ SNSによって恐怖症が広まったという疑い

集合体恐怖症はインターネットで広く知られるようになった現象ですが、SNSが症状そのものを作り出したと断定することはできません。

2024年の社会的学習に関する研究では、集合体恐怖症の傾向がある人の24%は、現象の名称を知る以前から反応を経験していました。

つまり、SNSが認知や反応の強さに影響する可能性はあっても、すべてがネット上の流行で生まれたわけではないのです。

2025年の研究は閲覧注意の効果も検証している

ここで注目したいのが、2025年8月にActa Psychologicaに掲載された「Trypophobia discomfort depends on viewing context manipulation」という研究です。

R. Nathan Pipitone氏らは、集合体画像を見る際の状況や文脈が、不快感にどのような影響を与えるのかを調べました。

実験では、参加者に異なる文脈を与えて画像を見てもらい、反応を比較しています。

その結果、集合体恐怖症の傾向が強い人では、社会的な文脈や注意喚起を与えることで、画像を見る際の不快感が軽減する傾向が確認されました。

これは、閲覧注意が単なる形式的なマナーではなく、見る人の心理的負担を減らす可能性があることを示しています。

もちろん、すべての人に同じ効果があるわけではありません。しかし、注意喚起には一定の研究上の根拠があるのです。

SNSでの評判を判断するときに注意したいこと

SNS上の反応を読む際には、次の3点を分けて考えると混乱しません。

- 集合体画像に対する嫌悪感を表明している人。
- 投稿方法や注意喚起の範囲に不満を持っている人。
- 恐怖症という名称や医学的な位置づけに疑問を持っている人。

これらは似ているようで、批判の対象が違います。

また、個別の投稿やコメント欄の反応は、SNS利用者全体の意見を代表するものではありません。特定の投稿が炎上したからといって、日本人の大多数が集合体恐怖症を嫌っていると判断するのは早計です。

【プロの結論】集合体恐怖症が苦手な人への正しい対処法と周囲の理解

集合体恐怖症をめぐる対立を減らすためには、苦手な人と苦手ではない人の双方が、相手に過度な要求をしないことが大切です。

集合体恐怖症が苦手な人ができる対処法

自分が集合体画像に強い反応を示す場合、まずは刺激に触れる機会を減らすことが現実的です。

1. SNSの表示設定を見直す

苦手な画像を投稿するアカウントや関連キーワードをミュートし、画像の自動表示設定も確認しましょう。

2. 突然表示された画像から離れる

無理に見続ける必要はありません。画面を閉じたり、別のページに移動したりして、刺激から距離を取ることができます。

3. 周囲に苦手な画像を具体的に伝える

「集合体が全部嫌い」と伝えるより、「小さな穴が密集した画像が苦手」「皮膚に似た凹凸の画像は避けたい」と具体的に伝えるほうが、相手も対応しやすくなります。

4. 生活に支障があるなら専門家に相談する

画像を避けるために仕事や日常生活が制限される、強い吐き気や不安が続くといった場合は、心療内科や精神科などで相談する選択肢があります。

投稿する側ができる配慮

集合体画像を投稿するときは、次のような対応が現実的です。

- 画像の前に短い閲覧注意の表示を付ける。
- 画像のプレビューをぼかす、またはクリック後に表示する。
- 投稿文で画像の特徴を簡潔に説明する。
- 苦手な人に対して、無理に画像を見るよう求めない。

特に、閲覧注意の表示は短くても十分に役立ちます。

「集合体模様あり」「小さな穴が密集した画像」など、内容が分かる表現なら、見る側が自分で判断できます。

反対に、苦手な人も、すべての投稿者に対して一律の投稿禁止を求めるのではなく、ミュートや非表示など、自分で調整できる方法を併用すると摩擦を減らせます。

2026年には治療に関する研究も進んでいる

2026年8月25日には、集合体恐怖症に対する心理療法を検討した「One-session treatment for trypophobia: a controlled multiple baseline trial」がオンライン公開されました。

オーストラリアのマッコーリー大学のSimone Hain氏らによる研究です。

この研究では、認知行動療法を基礎として、心理教育、認知的な働きかけ、モデリング、曝露、嫌悪反応を変化させるための手法などを組み合わせた治療が検討されました。

研究結果では、介入後に恐怖と嫌悪感の双方が軽減し、1か月後の追跡でも改善が維持されていました。

ただし、これは予備的な治療研究であり、すべての患者に同じ効果が得られると証明されたわけではありません。

重要なのは、集合体恐怖症の人に無理やり画像を見せることと、専門家の管理下で行う治療はまったく違うということです。

本人の意思を無視した画像の強制的な提示は、周囲の理解を深める方法にはなりません。

【集合体恐怖症うざい】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:集合体恐怖症は本当に存在する病気ですか?

集合体に対する嫌悪感や恐怖、不快感は、心理学や医学の研究で確認されている現象です。ただし、集合体恐怖症という名称がDSM-5やICD-11の独立した診断名になっているわけではありません。症状が特定の恐怖症の診断基準を満たすかどうかは、専門家による評価が必要です。

Q2:集合体恐怖症は恐怖ではなく、単なる嫌悪感ではありませんか?

嫌悪感が中心となる人は少なくありません。2017年の当事者調査では、回答者の60.5%が恐怖より嫌悪感を強く感じると回答しました。一方で、恐怖と嫌悪感の両方が生じる人もいます。両者は必ずしも対立する感情ではありません。

Q3:集合体恐怖症の人に閲覧注意を付ける必要はありますか?

法律上すべての投稿に注意表示が必要というわけではありませんが、画像の内容を事前に知らせることは有効な配慮です。2025年の研究でも、注意喚起や社会的文脈によって、症状の強い人の閲覧時の不快感が軽減する傾向が確認されています。

集合体恐怖症がうざいと批判される背景には、画像そのものへの嫌悪感と、SNSでの注意喚起や配慮をめぐる意見の対立があります。

しかし、2026年の研究動向を見ると、集合体恐怖症は単なるインターネット上の流行として片付けられる現象ではありません。

1月の研究レビューでは病気回避仮説が有力視され、8月には治療研究、9月には表情反応を調べる研究も発表されました。

一方、医学的な診断名として独立しているわけではなく、一般的な嫌悪感と臨床的な恐怖症を区別する必要もあります。

【プロの結論】

集合体恐怖症をめぐる問題で本当に考えるべきなのは、苦手な人と苦手ではない人のどちらが正しいかという勝ち負けではありません。

画像を避けたい人には避ける自由があり、画像を投稿したい人にも表現する自由があります。その両方を尊重するために、閲覧注意や画像のぼかし、ミュートなどの小さな工夫が役立ちます。

「うざい」という一言で当事者の苦痛を否定することも、苦手意識を理由に他人の投稿を全面的に制限することも、問題の解決にはつながりません。

相手の感じ方を否定せず、自分の行動も必要以上に制限しない。そのバランスこそが、集合体恐怖症をめぐるSNS上のすれ違いを減らすための現実的な判断基準です。

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三枝 朋樹
デジタルマーケター 三枝 朋樹
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アイドルグループのリリースとライブ告知を追って7年。加入や卒業の発表は公式発表の日付とあわせて記録します。

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