「呪い」は、発売当初から誰もが知るヒット曲だったというより、ラジオやテレビでの紹介を通じて、独特の存在感を獲得してきた楽曲だ。
ここでは、作品の誕生から本人による意味の説明、アニメでの登場までを整理する。
| 時期 | 出来事 | 関係・確認できる内容 |
|---|---|---|
| 1975年 | 山崎ハコがレコードデビュー | アルバム『飛・び・ま・す』を発表 |
| 1979年5月21日 | 『人間まがい』発売 | 「呪い」を収録。作詞・作曲は山崎ハコ、編曲は石川鷹彦 |
| 1990年代 | 大槻ケンヂのラジオで紹介 | 「かっちょいい曲」のコーナーなどを通じて再注目 |
| 2002年7月7日 | 『ちびまる子ちゃん』特別回 | 山崎ハコが本人役で出演。「呪い」が特別エンディングに使用された |
| 2012年 | 「イルカのオールナイトニッポン」出演 | 曲の制作背景や石川鷹彦との編曲について本人が説明 |
| 2018年6月19日 | TBSラジオ出演 | 「悲しい自分に釘を刺す」という楽曲の解釈を説明 |
| 2026年10月23日 | 50周年記念リリースの追加発表 | 初期ライブ音源を収録したLPの発売が発表された |
| よくある認識 | 実際の内容 |
|---|---|
| 実際に人を呪うための歌 | 本人は悲しい自分自身への戒めと説明 |
| 山崎ハコの実体験を歌ったもの | 作品上の表現と本人の実生活を同一視できない |
| 丑の刻参りの手順を歌った曲 | 民俗的なイメージを取り入れた創作表現 |
| 怖さだけを狙った作品 | 美しい編曲と内面的なテーマも持つ |
| アニメの通常エンディング曲 | 特定の特別回で使用された楽曲 |
特に重要なのは、本人が楽曲の意味について明確に説明していることだ。
ネット上では「昭和の最恐ソング」「呪いの歌」といった呼び方が定着しているが、それだけで作品の本質を判断すると、作者が伝えようとした内面的なテーマを見落としてしまう。
【ちびまる子ちゃんの伝説】2002年「まる子、フォークコンサートへ行く」で何が起きた?

山崎ハコの「呪い」を語る際、欠かせないのが2002年7月7日のテレビアニメ『ちびまる子ちゃん』だ。
この日放送された特別エピソードのタイトルは、「まる子、フォークコンサートへ行く」。
フジテレビと日本アニメーションによる作品で、山崎ハコは本人役として登場した。
テイチクレコードの公式プロフィールにも、2002年7月の活動として、アニメ『ちびまる子ちゃん』の特番に本人役で歌とアフレコで出演したことが記録されている。
劇中では「ヨコハマ」を歌唱このエピソードで山崎ハコが登場した際、劇中ではギターを持って「ヨコハマ」を歌った。
フォークコンサートという物語の設定に、実在のシンガーソングライターが本人役で参加する構成だった。
ところが、本編終了後に視聴者を驚かせる演出が待っていた。
エンディングに流れたのは、まさかの「呪い」通常のアニメのエンディングとは異なり、この特別回では山崎ハコの楽曲「呪い」が使用された。
国民的アニメの穏やかな世界観と、藁人形や釘を連想させる不穏な歌詞。この組み合わせは非常に強烈だった。
後年のアニメ特集記事でも、2002年7月7日の特別エンディングは異例の演出として取り上げられている。
この出来事には、作品を知らなかったアニメ視聴者が楽曲に触れるという意味もあった。
音楽ファンにとっては昭和のフォークソングでも、当時の子どもたちにとっては突然流れた不思議で怖い歌だった。
なお、当該回は後にDVD作品としても発売されている。ポニーキャニオンの公式作品情報には、2011年7月29日発売の『ちびまる子ちゃん スペシャル「まる子、フォークコンサートへ行く」の巻』として記載されている。
「まる子」と山崎ハコの組み合わせが生んだ意外性この演出が印象に残るのは、単に怖い曲が流れたからではない。
『ちびまる子ちゃん』は、日常生活や家族、友達との出来事をユーモラスに描く作品だ。
そこに、山崎ハコの内省的で不穏な楽曲が組み合わされた。
普段の作品イメージを知っている視聴者ほど、エンディングの変化に驚く構造だった。
その意味で、この放送回は「呪い」という楽曲が持つ意外性を、幅広い世代に伝えた象徴的な出来事といえる。
【大槻ケンヂのオールナイトニッポン】なぜ「呪い」は怖い歌として有名になった?
もう一つ、山崎ハコの「呪い」が広く知られるようになった背景として、深夜ラジオの存在がある。
特に名前が挙がるのが、ミュージシャンの大槻ケンヂがパーソナリティーを務めた「大槻ケンヂのオールナイトニッポン」だ。
同番組には、リスナーから珍しい楽曲を募り、紹介する「かっちょいい曲のコーナー」があった。
山崎ハコの「呪い」も、このコーナーで紹介された楽曲の一つとして知られている。
番組で紹介された曲には、左とん平の「とん平のヘイ・ユウ・ブルース」や杉良太郎の「君は人のために死ねるか」など、独特の個性を持つ作品も含まれていた。
深夜ラジオとの相性が抜群だった「呪い」は、聴く時間帯によって印象が変わる楽曲でもある。
昼間に聴く場合と、深夜の静かな時間に聴く場合では、同じ歌詞でも受ける印象が違う。
特に、繰り返される擬音と静かな歌唱は、深夜ラジオの音声メディアとの相性がよかった。
映像がなくても、聴き手の頭の中に藁人形や釘の情景が浮かび上がる。
こうした特徴が、怖い歌としての評判を強めたと考えられる。
山崎ハコ自身もオールナイトニッポンのパーソナリティーだったここで混同しやすいのが、番組名の違いだ。
山崎ハコ自身も、1979年4月から1980年3月までニッポン放送「オールナイトニッポン」火曜日のDJを担当していた。
つまり、彼女はラジオで紹介される側であると同時に、深夜ラジオのパーソナリティーとして活動した経験も持っている。
テイチクレコードの公式プロフィールにも、この経歴が記載されている。
この二つのラジオの関係を理解すると、「呪い」が単なる怖い歌としてだけではなく、深夜ラジオ文化の中で記憶されてきた理由も見えてくる。
【2026年最新】山崎ハコの50周年活動と「呪い」の再評価
2026年現在、山崎ハコはデビュー50周年に関連する作品の復刻やライブ音源のリリースを進めている。
ポニーキャニオンは2026年10月23日、50周年記念リリースの最終章として、LP作品『1975-1976 LIVE BEST「飛綱」』の発売を発表した。
この作品は、初期ライブ音源を収録した2作品から山崎ハコ本人が10曲を選んだライブ・ベストアルバムだ。
1975年と1976年の貴重な演奏を、初公開写真を使用したジャケットとともにアナログレコードで発売する企画となっている。
今回のLPに「呪い」が収録されるという発表ではない。しかし、初期作品が改めて取り上げられる動きは、山崎ハコの音楽を当時の流行や怖い歌という評判だけでなく、長いキャリア全体から見直す機会になっている。
2026年に「呪い」を聴くなら注目したい3つのポイント1.歌詞と本人の説明をセットで理解する
歌詞だけを追えば、呪術的な恐怖を感じる。しかし本人の発言を知った後では、悲しみを抱え続ける人間の姿が浮かび上がる。
2.石川鷹彦の編曲にも耳を傾ける
恐ろしい歌詞と美しい音楽の対比は、この作品の重要な特徴だ。言葉だけではなく、音楽全体で恐怖を表現している。
3.2002年のアニメ放送も作品史の一部として捉える
『ちびまる子ちゃん』での使用は、楽曲の認知を広げた象徴的な出来事だ。フォークソングとテレビアニメという異なる文化が交差した点にも注目したい。
【山崎ハコの呪い】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:山崎ハコの「呪い」は本当に藁人形に釘を刺す歌ですか?
A1:歌詞には藁人形に釘を刺す情景が描かれており、丑の刻参りを連想させます。ただし、本人は「悲しい自分に釘を刺す」という意味を説明しています。他人を呪うことだけをテーマにした歌ではありません。
Q2:「呪い」は何年に発売された曲ですか?
A2:1979年5月21日発売のアルバム『人間まがい』に収録された楽曲です。作詞・作曲は山崎ハコ、編曲は石川鷹彦が担当しています。
Q3:ちびまる子ちゃんで「呪い」が流れたのはいつですか?
A3:2002年7月7日放送の「まる子、フォークコンサートへ行く」です。山崎ハコが本人役で出演し、特別エンディングに「呪い」が使用されました。
Q4:大槻ケンヂのオールナイトニッポンと「呪い」の関係は?
A4:番組の「かっちょいい曲」のコーナーで紹介されたことで、怖い歌としての知名度を高めたとされています。
Q5:「呪い」の編曲を担当したのは誰ですか?
A5:石川鷹彦です。山崎ハコは、怖い題材に対して美しい音楽を組み合わせる方向性を求めたことを、後年のラジオ出演時に語っています。
山崎ハコの「呪い」は、1979年のアルバム『人間まがい』に収録された、昭和フォークを代表する異色の楽曲だ。
藁人形、釘、丑の刻参りを連想させる描写は、確かに強烈な印象を残す。しかし、その表面的な怖さだけでは作品の本質を捉えきれない。
特に重要なのは、2018年のラジオ出演で本人が説明した「悲しい自分に釘を刺す」という解釈である。
誰かを恨み続けることは、自分自身をも傷つけてしまう。その苦しさや人間の弱さを、山崎ハコは恐ろしい情景に重ねて表現した。
また、石川鷹彦の美しい編曲、大槻ケンヂの深夜ラジオでの紹介、2002年の『ちびまる子ちゃん』での特別エンディングなど、楽曲が長く語り継がれる理由も一つではない。
「呪い」は、単なる怖い歌ではなく、悲しみや恨みにとらわれた自分自身と向き合う歌でもある。
2026年、デビュー50周年を迎えた山崎ハコの初期作品が改めて注目されるなか、この曲もまた、恐怖という評判の奥にある本来のメッセージとともに聴き直したい一曲だ。
主な参考資料:ポニーキャニオン公式作品情報、テイチクレコード公式プロフィール、ちびまる子ちゃん公式放送記録、山崎ハコ出演時のラジオ発言を伝える記録、サンケイスポーツ報道、国際日本文化研究センターの民俗資料。