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【公職選挙法はどう変わった?】2025年改正とQRコード付きポスターの法的問題

水無瀬 康平 水無瀬 康平 • 更新: • 公開: • 読了約 10 分
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2024年の東京都知事選で発生したポスター問題は、選挙制度の見直しにつながりました。

その大きな転換点が、2025年の公職選挙法改正です。

2025年5月2日からポスターの品位保持規定が施行

改正法は2025年4月2日に公布され、同年5月2日に施行されました。

新設された公職選挙法第144条の4の2では、選挙ポスターについて次のルールが設けられています。

1. ポスターの表面に、使用する公職候補者の氏名を有権者が見やすいように記載する。
2. 他人や他の政党の名誉を傷つける内容を記載してはならない。
3. 善良な風俗を害する内容を記載してはならない。
4. 特定商品の広告など、営業に関する宣伝をしてはならない。

加えて、掲示場に掲示したポスターなどで特定商品の広告や営業宣伝を行った場合には、100万円以下の罰金が設けられました。

QRコードを掲載するだけで違法になるのか?

ここは誤解しないようにしたいところです。

QRコードそのものが一律に禁止されたわけではありません。

QRコードは、印刷されたコードをスマートフォンで読み取ることで、ウェブサイトや動画などのリンク先に移動するための仕組みです。

選挙ポスターにQRコードを掲載して、候補者の政策、演説動画、公式サイトなどを紹介すること自体は、直ちに違法とはなりません。

問題になるのは、リンク先の内容やポスター全体の利用目的です。

例えば、次のようなケースでは、それぞれ異なる法律上の問題が生じ得ます。

QRコードの利用方法 検討される法的論点
候補者の公式サイトへ誘導 通常の選挙情報の提供
政策や演説動画へ誘導 選挙運動上の情報発信
他人の虚偽情報や誹謗中傷動画へ誘導 名誉毀損・人格権侵害など
商品や店舗の宣伝へ誘導 公職選挙法上の営業宣伝規制など

特に重要なのは、QRコードの表面だけでなく、そのリンク先で何を発信しているのかという点です。

参議院の調査資料でも、2024年の都知事選では、営利目的のウェブサイトに誘導するQRコード付きポスターなどが問題として取り上げられています。

2024年のポスター問題にも改正法は適用される?

原則として、今回の改正法は2025年5月2日以降に公示・告示される選挙に適用されます。

そのため、2024年7月の東京都知事選にさかのぼって新しい規定を適用することはできません。

ただし、2024年当時であっても、名誉毀損や民法上の不法行為など、既存の法律に違反する行為があれば、別途責任を問われる可能性はあります。

選挙ポスター掲示板の設置費用は誰が負担する?

もう一つの重要な論点が、掲示板の費用です。

2024年の東京都知事選では、都内約1万4000か所に掲示場が設置されました。

これらは選挙管理委員会が設置する公的な設備であり、その設置・管理には公費が使われます。

一方、候補者の選挙運動用ポスターの印刷費用についても、一定の条件と上限の範囲で公費負担制度があります。

東京都選挙管理委員会の2024年の手引きでは、ポスターの作成費について、掲示場の数に応じた限度額や、印刷業者から東京都への請求手続きが定められていました。

政党や政治団体の印刷機で自作したポスターについては、この制度による請求はできないとされています。

ここで区別したいのは、次の3つです。

- 掲示板の設置費用: 自治体が公費で負担する公共設備の費用。
- 候補者のポスター印刷費: 条件と上限のある選挙運動費用の公費負担。
- NHK党への寄付: 掲示枠を第三者に利用させる仕組みに関連した政治団体への寄付。

つまり、寄付者が自治体から掲示板の区画を正式に購入したわけではありません。候補者に割り当てられた枠を、候補者側が第三者のポスターに使わせたことが問題の核心です。

この仕組みは、選挙のために公費で整備された設備を、候補者以外の宣伝に転用できるのかという制度上の疑問を浮き彫りにしました。

【プロの結論】立花孝志ポスター問題から見える選挙制度の3つの課題

立花孝志ポスター

2026年の一連の司法判断から見えてくるのは、選挙ポスターの内容だけでなく、掲示枠を誰が管理し、誰が責任を負うのかという問題です。

1. 掲示枠を提供した側にも管理責任が生じ得る

これまで選挙ポスターをめぐる問題では、実際に制作した人や貼り付けた人の責任に注目が集まりがちでした。

しかし、2026年6月の東京高裁判決は、掲示枠を第三者に委ねる場合、掲載内容を確認する必要があるという判断を示しました。

これは選挙に限らず、他人に自分の名義や権限を使わせる場合にも参考になる考え方です。

自分が直接制作していない、自分が現場にいなかったという事情だけで、責任を免れるとは限りません。

2. 選挙制度は表現の自由と公共性の両立が必要

選挙ポスターには、候補者が自分の主張を自由に発信する役割があります。

政治的な批判や対立候補への追及を過度に制限すれば、表現の自由を損なう可能性があります。

一方で、公的な掲示板を利用して第三者への人格攻撃や営業宣伝を行うことまで無制限に認めれば、選挙制度の目的が損なわれます。

2025年の法改正は、このバランスを見直すための一歩です。

ただし、品位保持規定ができたからといって、選挙管理委員会にすべてのポスターを事前審査して自由に撤去できる権限が与えられたわけではありません。

参議院の立法調査資料でも、改正によって行政庁に新たな審査・規制権限が付与されたものではないと整理されています。

3. ネット上の情報は発信者と根拠を分けて確認する

この問題では、ポスターのQRコードから動画へ誘導し、その動画の内容がさらにSNSで拡散されるという構造が見られました。

一つの情報が複数の媒体を通じて広がると、元の情報が誰によって作られたのか、どの部分が事実なのかが分かりにくくなります。

情報を判断する際には、次の4点を確認することが有効です。

- 発信者: 動画や投稿を最初に公開した人物は誰か。
- 一次情報: 実際の発言、映像、資料などの根拠があるか。
- 司法判断: 判決で認定された事実なのか、当事者の主張なのか。
- 手続きの段階: 告訴、書類送検、起訴、判決のどこまで進んでいるのか。

とりわけ、政治家に関する情報では、当事者の主張と裁判所の認定を混同しないことが大切です。

【立花孝志のポスター問題】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:立花孝志氏はポスター問題で逮捕・有罪になったのですか?

A1:2026年7月2日に、東京都知事選のポスターをめぐる名誉毀損事件で立花氏ら3人の書類送検が明らかになりました。ただし、書類送検は逮捕や起訴、有罪判決とは異なります。2026年10月30日時点で、当該事件について有罪が確定したという状況ではありません。

Q2:2026年6月の東京高裁判決で福永活也氏に賠償命令が出たのですか?

A2:いいえ。6月24日の判決は、福永氏がちだい氏に対して起こした名誉毀損訴訟の控訴審です。福永氏の請求が棄却され、判決理由ではポスター掲示枠を提供したことに関する不法行為への加担が認定されました。その後、大津氏が別の裁判で福永氏に330万円を請求しています。

Q3:選挙ポスターにQRコードを付けることは禁止されたのですか?

A3:QRコードそのものが全面禁止されたわけではありません。候補者の公式サイトや政策動画への誘導などは、内容や利用方法によって適法に行えます。一方、名誉毀損につながる内容や営業宣伝などは、別途法律上の問題になります。2025年5月施行の公職選挙法改正では、ポスターの品位保持に関する規定も新設されています。

立花孝志氏をめぐるポスター問題は、2024年の東京都知事選でNHK党が展開した掲示板ジャックから始まり、大津綾香氏の顔写真とQRコード付きポスターをめぐる名誉毀損問題へと発展しました。

2026年6月には東京高裁が、ポスター掲示枠を第三者に提供した福永活也氏の不法行為への加担を認定する判断を示しました。同日、大津氏は福永氏に330万円を請求。8月31日には新たに5人を提訴し、1375万円の損害賠償を求めています。

刑事面では、立花氏、中本店長氏、浜田聡氏の3人が書類送検されましたが、書類送検と有罪判決は別の段階です。民事面でも、提訴された人全員の責任が確定したわけではありません。

また、2025年5月の公職選挙法改正によって、選挙ポスターの候補者名表示や品位保持に関する規定が新設されました。しかし、QRコードの全面禁止や選挙管理委員会による自由な事前審査が実現したわけではありません。

今後の注目点は、立花氏らの刑事事件に対する検察の判断、福永氏への330万円請求訴訟、8月に追加提訴された5人の民事責任です。そして、候補者に割り当てられた掲示枠を第三者に利用させる場合、どこまで管理責任を負うのかという問題も残されています。

この事件が突きつけたのは、選挙における表現の自由だけではありません。公的な選挙設備を利用する以上、その自由には制度の目的と他人の権利を尊重する責任が伴うということです。

2026年10月30日現在、立花孝志ポスター問題は、刑事・民事双方の責任と選挙制度のあり方を問う問題として、引き続き注視する必要があります。

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水無瀬 康平

芸能ニュースの編集を11年。所属事務所の公式リリース、番組公式サイト、配信サービスの告知だけを一次情報として照合し、出典の取れない話は載せません。

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