2026年のサイヤング賞は、アメリカンリーグとナショナルリーグの受賞者が11月11日(米国時間)に発表されます。MLB公式の2026年表彰スケジュールに掲載された日程で、発表はMLB Networkで行われる予定です。
発表時間については、サイヤング賞とリリーフ投手賞が東部時間の午後7時から8時に発表される予定です。米国東部時間は11月時点で標準時(EST)となるため、日本との時差は14時間。日本の野球ファンにとっては、翌12日の午前9時から10時ごろが注目の時間帯になります。
2026年の主な表彰スケジュール| 日付(米国時間) | 発表内容 |
|---|---|
| 11月2日 | BBWAA各賞の最終候補発表 |
| 11月9日 | 新人王発表 |
| 11月10日 | 最優秀監督賞発表 |
| 11月11日 | ア・リーグ、ナ・リーグのサイヤング賞発表 |
| 11月12日 | MVP発表 |
11月2日にはサイヤング賞の最終候補も公表される予定です。各リーグで上位3人がファイナリストとして紹介されますが、これは投票対象者を3人に限定する制度ではありません。最終候補以外の選手にも投票権のある記者は票を投じられます。
なお、2026年10月30日時点では、2026年の受賞者はまだ決定していません。11月2日の候補発表と11日の最終発表を分けて確認することが大切です。
【選考の仕組み】BBWAAの投票方法と7・4・3・2・1ポイントの秘密

サイヤング賞の選考を担当するのは、全米野球記者協会(BBWAA=Baseball Writers' Association of America)です。監督や選手が直接選ぶのではなく、MLBを取材する資格を持つ記者による投票で決まります。
投票はレギュラーシーズン終了後、ポストシーズンが始まる前に実施されます。そのため、ワールドシリーズでの活躍やプレーオフでの好投は、サイヤング賞の選考対象になりません。
投票する記者は各リーグ30人BBWAAの投票規定によると、各MLB都市から原則2人の記者が選ばれます。アメリカンリーグの記者は同リーグの賞に、ナショナルリーグの記者は同リーグの賞に投票し、各リーグ30人が投票を担当します。
各記者は候補者を5人まで順位付けします。1位から5位までの順位に応じてポイントが与えられ、合計ポイントが最も多い投手が受賞者になります。
BBWAAの投票ポイント一覧7・4・3・2・1
サイヤング賞の順位別ポイント
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例えば、ある投手が1位票を10票、2位票を5票、3位票を3票獲得した場合、合計は次のようになります。
10票×7点+5票×4点+3票×3点=119ポイント
このように、1位票の獲得数は非常に重要ですが、2位以下の評価も最終順位に影響します。特定の記者から圧倒的な支持を受ける選手だけでなく、多くの記者から安定して高い評価を受ける選手も有利になる仕組みです。
投票結果はいつ公開される?BBWAAは2012年から各賞の詳細な投票結果を公式サイトで公開しています。受賞者だけでなく、各選手が獲得した1位票や総ポイントも確認できます。
そのため、発表後には単純な受賞・落選だけでなく、記者間の評価の違いや接戦の度合いまで検証できます。
【評価指標を徹底比較】ERA・奪三振・勝利数・WARのどれが重要?
サイヤング賞には、ERAが何点以下なら受賞できる、あるいは奪三振が何個以上なら有利になる、といった公式の数値基準はありません。BBWAAの記者がレギュラーシーズン全体の投球内容を比較し、最も優れた投手を判断します。
実際の評価では、防御率、奪三振、勝利数、投球回数といった伝統的な成績に加えて、WHIP、FIP、WARなどの分析指標も参考になります。
主要な投手評価指標の意味| 指標 | 内容 | 評価のポイント |
|---|---|---|
| ERA | 防御率 | 9イニング換算の自責点。低いほど優秀 |
| K | 奪三振 | 打者を三振に取る能力 |
| W | 勝利数 | チームに勝利をもたらした実績 |
| IP | 投球回数 | どれだけ長く安定して投げたか |
| WHIP | 被安打と与四球の合計を投球回で割った数値 | 走者を出さない能力 |
| FIP | 独立守備投手指標 | 奪三振、与四球、被本塁打を中心に評価 |
| WAR | 代替可能選手と比較した総合貢献度 | 投手の総合的な価値を比較 |
ERA(Earned Run Average)は防御率を意味します。投手が9イニングを投げた場合に、平均何点の自責点を許すかを示す数値です。
計算式は次のとおりです。
ERA=自責点×9÷投球回数
例えば、200イニングを投げて40自責点だった場合、ERAは1.80です。失点を抑える能力を直感的に理解できるため、サイヤング賞の議論でも頻繁に登場します。
ただし、防御率には球場の特性、守備力、対戦相手などの影響もあります。ERAだけで投手の実力を完全に判断することはできません。
奪三振数は投手自身の能力を示す奪三振は、投手が打者を自らの投球でアウトにする能力を示す重要な指標です。特に強打者が多いMLBでは、三振を奪える投手は高く評価されます。
ただし、奪三振数が多くても、四球や本塁打を大量に許していれば総合評価は下がる可能性があります。奪三振率(K/9)や与四球率(BB/9)も合わせて確認すると、投手の特徴が見えやすくなります。
勝利数だけでは受賞者を決められないかつては20勝投手がサイヤング賞の有力候補として注目される傾向がありました。しかし、現代の投手評価では勝利数だけを重視する考え方は弱まっています。
勝利投手の記録には、打線の援護や救援投手の働きも関係するためです。投手自身が優れた投球をしても、味方が得点できなければ勝利はつきません。
WARは総合的な貢献度を把握するための指標WARはWins Above Replacementの略で、代替可能な選手と比較して、どれだけチームに勝利を上積みしたかを推定する指標です。
投手WARは算出方法によって数値が異なるため、FanGraphs版とBaseball-Reference版を同じものとして扱うことはできません。また、WARはBBWAAが定めた公式の採点項目ではありません。記者が選手の総合力を比較する際の参考材料です。
プロの見方は、ERAで失点抑止力を確認し、奪三振とWHIPで投球内容を検証し、投球回とWARでシーズン全体への貢献を考えること。 この複数指標の組み合わせが、受賞予想の精度を高めます。
【歴代受賞者と記録】ドン・ニューカムからコーファックス、バーランダーまで
サイヤング賞は1956年に創設されました。初代受賞者はブルックリン・ドジャースのドン・ニューカムです。当時はアメリカンリーグとナショナルリーグを合わせて、年間1人だけが選ばれる制度でした。
1967年からは現在と同様に、両リーグから1人ずつ受賞者が選ばれる方式に変更されています。この制度変更を理解すると、異なる年代の受賞回数を比較する際の注意点も見えてきます。
サイヤング賞の歴史と主要人物の関係ア・リーグでは、ロジャー・クレメンス、ペドロ・マルティネス、ジャスティン・バーランダーなど、時代を代表するエースが受賞してきました。
近年の主な受賞者は次のとおりです。
- 2016年:リック・ポーセロ
- 2017年:コーリー・クルーバー
- 2018年:ブレイク・スネル
- 2019年:ジャスティン・バーランダー
- 2020年:シェーン・ビーバー
- 2021年:ロビー・レイ
- 2022年:ジャスティン・バーランダー
- 2023年:ゲリット・コール
- 2024年:タリク・スクーバル
- 2025年:タリク・スクーバル
特にスクーバルは2024年に初受賞した後、2025年も選出されました。2年連続でア・リーグの頂点に立ったことは、近年の投手史に残る実績です。
ナショナルリーグの歴代受賞者ナ・リーグでは、グレッグ・マダックス、ランディ・ジョンソン、クレイトン・カーショー、マックス・シャーザーなどが歴史を彩ってきました。
2016年以降の主な受賞者は次のとおりです。
- 2016年:マックス・シャーザー
- 2017年:マックス・シャーザー
- 2018年:ジェイコブ・デグロム
- 2019年:ジェイコブ・デグロム
- 2020年:トレバー・バウアー
- 2021年:コービン・バーンズ
- 2022年:サンディ・アルカンタラ
- 2023年:ブレイク・スネル
- 2024年:クリス・セール
- 2025年:ポール・スキーンズ
ナ・リーグでは、2025年にパイレーツのポール・スキーンズが初受賞を果たしました。新人王を獲得した2024年に続く大きな成果で、キャリア初期からMLBを代表する投手として評価されています。
連続受賞と最多受賞の記録複数回受賞した投手の中でも、特に注目されるのがロジャー・クレメンスです。通算7回の受賞は歴代最多記録で、ア・リーグとナ・リーグの両方で栄冠を手にしています。
主な複数回受賞者を整理すると、次のようになります。
| 投手 | 通算受賞回数 | 主な実績 |
|---|---|---|
| ロジャー・クレメンス | 7回 | 歴代最多 |
| ランディ・ジョンソン | 5回 | 4年連続受賞 |
| グレッグ・マダックス | 4回 | 4年連続受賞 |
| スティーブ・カールトン | 4回 | ナ・リーグで4回 |
| サンディ・コーファックス | 3回 | 1963・65・66年 |
| ジャスティン・バーランダー | 3回 | 2011・19・22年 |
連続受賞の記録では、マダックスの1992〜95年と、ランディ・ジョンソンの1999〜2002年がともに4年連続で並んでいます。
なお、コーファックスの3回はすべて1967年の制度変更前の受賞です。両リーグから1人ずつ選ぶ現在の制度とは条件が異なるものの、当時のMLB全体を代表する投手だったことを示す記録です。
【2025年受賞者を検証】タリク・スクーバルとポール・スキーンズの実力
2026年の受賞予想を考えるうえで、前年の受賞者を分析することは欠かせません。2025年は、アメリカンリーグでタリク・スクーバル、ナショナルリーグでポール・スキーンズが選出されました。
両者に共通しているのは、優れた防御率だけではなく、シーズンを通じて高いレベルの投球を続けた点です。一方で、受賞に至るまでの成績や評価の特徴には違いがあります。
タリク・スクーバル:ア・リーグ2年連続受賞
デトロイト・タイガース
2.21 ERA
195回1/3、241奪三振、13勝
スクーバルは2025年に31試合へ先発登板し、195回1/3を投げて13勝6敗、防御率2.21、241奪三振を記録しました。防御率はア・リーグトップで、前年の2024年に続く2年連続の受賞となりました。
2025年の投票では、30人の記者のうち26人から1位票を獲得。残る4票はガレット・クロシェットに入りました。
スクーバルの強みは、奪三振能力と失点抑止力の両立です。特にチェンジアップと速球の組み合わせは打者にとって攻略が難しく、安定した投球を支えました。
ポール・スキーンズ:10勝10敗でもナ・リーグ受賞
ピッツバーグ・パイレーツ
1.97 ERA
187回2/3、216奪三振、10勝10敗
スキーンズは2025年に32試合へ先発登板し、10勝10敗、防御率1.97、216奪三振を記録しました。ナ・リーグ最優秀防御率を獲得し、MLB全体でも優秀な失点抑止力を示しました。
特筆すべきは、勝敗が10勝10敗だったことです。勝ち越していない投手がサイヤング賞を獲得した事実は、勝利数だけでは投手の実力を評価できないことを端的に示しています。
スキーンズは30人全員から1位票を獲得し、満票での受賞となりました。新人王に続いてサイヤング賞を獲得したことも、キャリア初期の大きな記録です。
2025年の両受賞者を数字で比較| 比較項目 | スクーバル | スキーンズ |
|---|---|---|
| 所属球団 | タイガース | パイレーツ |
| 防御率 | 2.21 | 1.97 |
| 勝利数 | 13 | 10 |
| 敗戦数 | 6 | 10 |
| 奪三振 | 241 | 216 |
| 投球回 | 195回1/3 | 187回2/3 |
| 1位票 | 26票 | 30票 |
| 受賞状況 | 2年連続 | 初受賞 |
この比較で注目したいのは、スキーンズが勝敗では勝ち越していないにもかかわらず、圧倒的な支持を集めた点です。ERA、投球内容、投手個人の能力を重視する現代の評価傾向が表れています。
また、スクーバルも前年から成績をさらに伸ばしており、単に連続受賞しただけではありません。2025年は防御率2.21、241奪三振という非常に高い水準の投球を見せました。
【2026年の注目点】候補者発表と受賞争いをどう見ればいい?
2026年のサイヤング賞をチェックする際には、単純なランキングだけでなく、投票制度とレギュラーシーズンの成績を合わせて見る必要があります。
2026年の正式なファイナリストは11月2日に発表される予定です。各リーグ3人の候補が公表されれば、受賞争いの構図がより明確になります。
2026年の受賞候補を見極める4つのポイント1. 防御率だけでなく投球回も確認する
少ない登板数で非常に優れたERAを記録した投手と、シーズンを通じて先発ローテーションを支えた投手では、チームへの貢献の形が異なります。登板数、投球回数、シーズンを通じた安定感も比較したいポイントです。
2. 奪三振とWHIPを組み合わせる
奪三振数が多く、さらに被安打や与四球を抑えている投手は、相手打線を支配する能力が高いと判断できます。WHIPは走者を出さない能力を見るための分かりやすい指標です。
3. 勝利数の背景を考える
10勝と18勝という数字だけで投手の優劣を判断するのは適切ではありません。打線の援護、救援投手の働き、登板時のチーム状況など、勝敗に影響する要素を考慮する必要があります。
4. レギュラーシーズン終了時点の記録を重視する
BBWAAの投票はポストシーズン開始前に行われます。プレーオフでの好投やワールドシリーズでの活躍は、サイヤング賞の投票結果には反映されません。
よくある誤解と正しい理解| よくある誤解 | 正しい理解 |
|---|---|
| 20勝以上でなければ受賞できない | 勝利数は評価項目の一つ |
| 防御率が最も低い選手が必ず受賞する | 総合的な投票で決まる |
| WARが最も高い選手が受賞する | WARは参考指標で公式の採点式ではない |
| ポストシーズンの成績も加算される | 投票はポストシーズン開始前 |
| ファイナリスト3人だけが投票対象 | 5人まで順位を付けて投票できる |
特に注意したいのは、最終候補3人と投票対象者5人は別の概念だということです。ファイナリスト発表だけを見て、候補者全員が確定したと誤解しないようにしましょう。
【サイヤング賞に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:2026年のサイヤング賞はいつ発表されますか?
A1:米国時間2026年11月11日です。日本時間では11月12日午前9時から10時ごろに発表される予定です。
Q2:サイヤング賞は誰が決めるのですか?
A2:全米野球記者協会(BBWAA)の記者が投票で決定します。各リーグ30人が担当し、1人の記者が5人まで順位を付けます。
Q3:サイヤング賞の投票要点は何点ですか?
A3:1位7点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点です。各記者のポイントを合計し、最も高い選手が受賞します。
Q4:防御率が最も低い投手が必ず受賞しますか?
A4:必ずしもそうではありません。ERAは重要な評価指標ですが、奪三振、投球回数、WHIP、WARなども含めた総合的な投票で決まります。
Q5:サイヤング賞を最も多く受賞した投手は誰ですか?
A5:ロジャー・クレメンスです。通算7回受賞しており、歴代最多記録を保持しています。
Q6:サイヤング賞の連続受賞記録は何年ですか?
A6:4年連続です。グレッグ・マダックスが1992〜95年、ランディ・ジョンソンが1999〜2002年に達成しています。
Q7:初代サイヤング賞受賞者は誰ですか?
A7:1956年のドン・ニューカムです。ブルックリン・ドジャースに所属し、同年にはナショナルリーグMVPも獲得しました。
Q8:ジャスティン・バーランダーは何回受賞していますか?
A8:通算3回です。2011年、2019年、2022年にアメリカンリーグのサイヤング賞を受賞しています。
MLBサイヤング賞は、アメリカンリーグとナショナルリーグから、それぞれ最高の投手を選ぶ伝統ある個人賞です。1956年にドン・ニューカムが初代受賞者となって以来、サンディ・コーファックス、ロジャー・クレメンス、ランディ・ジョンソン、ジャスティン・バーランダーなど、数々の名投手が歴史を築いてきました。
選考を理解するうえで重要なのは、BBWAAによる7・4・3・2・1ポイント方式です。防御率や奪三振数だけでなく、投球回数、WHIP、WARなどを組み合わせることで、投手の実力をより正確に比較できます。
2025年はタリク・スクーバルがア・リーグで連続受賞し、ポール・スキーンズがナ・リーグで満票受賞を果たしました。勝利数だけでは測れない投球の価値が、改めて示されたシーズンでした。
2026年の注目日程は、11月2日のファイナリスト発表、11月11日の受賞者発表です。 日本のファンは11月12日午前の発表に注目しましょう。受賞者の名前だけでなく、1位票の数や総ポイント、ERAと奪三振の関係まで確認すれば、MLB最高峰の投手評価をより深く楽しめます。
サイヤング賞は、単に最も多く勝った投手を選ぶ賞ではありません。長いレギュラーシーズンを通じて、どれだけ打者を抑え、チームに貢献したか。その価値を数字と専門家の評価で明らかにする賞なのです。