2025年1月27日の午後4時、フジテレビ本社で始まった2回目の記者会見は、翌28日の午前2時23分に終了しました。
会見時間は休憩を含めて10時間23分。日付をまたいで深夜まで続く異例の展開となりました。
日刊スポーツやFNNプライムオンラインなどの報道によると、会場には191媒体、437人の取材関係者が集まりました。参加メディアを限定せず、カメラ撮影も認めるオープン形式だったことも、1月17日の会見との大きな違いです。
会見の基本データ
開始日時
2025年1月27日 16:00
終了日時
2025年1月28日 02:23
会見時間10時間23分

参加規模191媒体・437人
開催場所
フジテレビ本社
会見形式
オープン形式
休憩
約6時間後に1回
長時間化の背景には、会見前に積み重なった説明不足への批判がありました。
1月17日の会見では、参加するメディアが限定され、映像撮影も認められませんでした。加えて、質疑応答の内容が十分に公開されなかったため、報道機関や視聴者から透明性を疑問視する声が上がりました。
その後、社内でも経営陣の対応を問題視する動きが強まり、1月23日の社員説明会などを経て、再会見を求める声が高まりました。
27日の会見では質問を受け続ける形式となり、開始から約6時間が経過した午後9時52分ごろに初めて休憩が入りました。その後も質疑応答が続き、翌日午前2時23分に終了しています。
重要なのは、会見の長さそのものよりも、なぜ最初の会見で十分な説明ができなかったのかという点です。
10時間を超える説明の場を設けたことは、透明性を高めるための対応でした。しかし、質問に答える時間を増やすだけで、企業への信頼が回復するわけではありませんでした。
【再会見の経緯】1月17日から27日まで何が変わった?
フジテレビの会見問題を理解するには、最初の会見と再会見を区別する必要があります。
1月17日に開かれたのは、港浩一社長(当時)の定例社長会見です。
同局は当初、女性のプライバシー保護や示談に関する守秘義務などを理由に、詳細な説明を控える姿勢を示していました。
港社長は当時、女性の心身のケアを優先し、中居氏への正式な聞き取りを含む調査を行わなかった経緯を説明しています。
一方で、会社としての対応が適切だったかどうかは、今後の調査に委ねる考えを示しました。
2回の会見を比較| 比較項目 | 1月17日 | 1月27日 |
|---|---|---|
| 会見の主体 | 港浩一社長 | フジテレビ・FMH経営陣 |
| 参加対象 | 記者会加盟社などに限定 | メディアを限定しない |
| 撮影 | 映像撮影を制限 | カメラ撮影を認める |
| 質疑応答 | 公開内容に制約 | 長時間の公開質疑 |
| 開催時間 | 定例会見 | 約10時間23分 |
| 主な課題 | 説明不足への批判 | 経営責任と対応の検証 |
1月27日の会見冒頭、港氏は前回の会見について、透明性や説明責任を欠いていたとして謝罪しました。
また、親会社のフジ・メディア・ホールディングス社長だった金光修氏も、第三者委員会の設置に関する説明が曖昧だったことを認め、調査の独立性を疑われる状況を招いたと謝罪しました。
27日の会見で発表された経営陣の交代再会見当日には臨時取締役会が開かれ、嘉納修治会長と港浩一社長の辞任が決まりました。
後任の社長には清水賢治氏が就任することになり、翌28日付で新体制がスタートしました。
経営陣の交代は、単なる人事異動ではありません。問題発生後の対応について、当時の経営責任を明確にする意味を持っていました。
【関係者一覧】港浩一・嘉納修治・清水賢治と第三者委員会の関係
会見にはフジテレビと親会社の経営を担う5人が登壇しました。
それぞれの立場を整理すると、会見で何が問われていたのかが分かりやすくなります。
| 人物・組織 | 当時の立場 | 会見・問題との関係 |
|---|---|---|
| 港浩一氏 | フジテレビ社長 | 問題発生後の社内対応と経営判断について説明。1月27日付で辞任 |
| 嘉納修治氏 | フジテレビ会長 | 経営責任を問われ、1月27日付で辞任 |
| 遠藤龍之介氏 | フジテレビ副会長 | 経営体制や企業統治に関する質問に対応 |
| 金光修氏 | フジ・メディア・ホールディングス社長 | 親会社の立場からグループ経営と調査体制について説明 |
| 清水賢治氏 | フジ・メディア・ホールディングス専務、フジテレビ新社長 | 1月28日付で新社長に就任し、信頼回復と改革を担う |
| 第三者委員会 | 外部弁護士を中心とする調査組織 | 事案の経緯、会社の対応、組織上の問題を独立した立場から調査 |
1.会社はいつ問題を把握したのか
会社側は、2023年6月初旬に事案を認識し、限られた社員間で情報を共有していたと説明しました。
その後、港氏にも報告が上がっていたことを明らかにしています。
2.中居正広氏への正式な聞き取りをなぜ行わなかったのか
会社側は、女性のプライバシーや心身のケアを優先したと説明しました。
しかし、正式な調査を行わず、番組出演の継続についても慎重に判断していた対応が適切だったのかという疑問が残りました。
3.社員は食事会や問題の発生に関与したのか
社員が女性を会合に誘った経緯や、タレントとの会食をめぐる業務慣行が問われました。
この点は、後の第三者委員会の調査で重要な検証対象となりました。
4.経営陣は組織の問題を把握していたのか
港氏や嘉納氏だけでなく、親会社の経営陣や日枝久氏を含めた経営責任が質問されました。
特に、社内で強い影響力を持つとされた人物と、実際の意思決定の関係が注目されました。
5.第三者委員会の調査は本当に独立しているのか
調査対象となる経営陣自身が調査体制を決めることへの疑問がありました。
そのため、委員の独立性や調査範囲、報告書の公開方法が重要な論点になったのです。
これらの質問は、個別の出来事だけでなく、フジテレビの組織全体が問題を把握し、適切に対処できる仕組みを持っていたのかという問いにつながっていました。
【第三者委員会の調査結果】中居正広氏の問題と会社の責任
2025年3月31日、フジテレビとフジ・メディア・ホールディングスは、第三者委員会の調査報告書を公表しました。
調査期間は約2か月。報告書は約300ページに及ぶもので、日本弁護士連合会が策定した「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠した調査として実施されました。
委員会は、会社と利害関係を持たない弁護士を中心に構成されました。
調査結果で明らかになった要点特に重要なのは、中居氏と女性の間で起きた事案について、第三者委員会が性暴力による被害があったと認定したことです。
加えて、両者の関係性や権力格差、タレントと社員との会食をめぐる業務実態などを踏まえ、事案をフジテレビの「業務の延長線上」におけるものと評価しました。
一方、問題となった会合に女性を誘った行為について、フジテレビ社員が関与したことは認められなかったと、フジテレビ自身が調査報告書を受けた声明で説明しています。
ここは混同されやすいポイントです。
社員が会合への誘いに関与したかどうかと、会社の業務実態や事後対応に問題があったかどうかは、別々に検証する必要があります。
第三者委員会の評価は、社員による会合の設定が認められなかったからといって、会社の責任まで否定されるものではないことを示しました。
フジテレビ側が認めた組織上の問題2025年3月31日、清水賢治社長は調査報告書を受けて声明を発表しました。
その中では、女性から被害の申告を受けた後の対応について、十分な救済になっていなかったと認めています。
また、第三者委員会は中居氏の事案だけでなく、複数のハラスメント事案を認定し、社内の人権意識や企業風土にも厳しい指摘を行いました。
清水社長は声明で次のように述べています。
調査報告書の内容は、私たちにとって、大変厳しい指摘ばかりでした。
加えて、報告書では次のような構造的な問題が指摘されました。
- 人権侵害の申告を受けた際の救済体制の不十分さ
- 役員や社員の人権意識の不足
- ハラスメントを防ぐ組織的な仕組みの弱さ
- 社内の同質性や閉鎖性、硬直性
- 現場の判断を優先する「原局主義」の問題
つまり、今回の問題は個人間のトラブルへの対応だけでは終わりませんでした。
会社として被害申告を受けたとき、誰が判断し、誰が監督し、どのように救済するのか。その仕組み自体を見直す必要があったのです。
なお、第三者委員会による事実認定は、刑事裁判による有罪判決と同じものではありません。調査報告書の認定と法的責任の判断は区別して理解する必要があります。
【2026年最新】清水賢治社長の改革とスポンサー離れの回復状況
2026年10月30日現在、フジテレビは清水賢治社長のもとで、ガバナンス改革と事業構造の見直しを進めています。
2026年1月30日の社長会見では、就任後の約1年間に取り組んできた人権方針、コンプライアンス、取締役会の改革について説明しました。
その後、3月、6月、9月の社長会見でも、改革の進捗や業績について公表しています。
2026年の改革進捗2026年3月27日の社長会見では、清水社長が改革の内容を具体的に説明しました。
主な取り組みは次のとおりです。
- 取締役会の人数を従来の半分以下に削減
- 女性役員比率を30%以上に引き上げ
- 独立社外取締役を過半数にする体制へ変更
- 各セクションにコンプライアンス・オフィサーを設置
- コンプライアンス委員会を設置
- 外部の人権専門弁護士や人的資本経営の専門家を活用
- 社員向けの研修や対話を継続
特に注目したいのは、外部の目を組織に入れる改革です。
従来のように社内の上司や経営陣だけで問題を処理するのではなく、外部の専門家がチェックできる仕組みを整えています。
スポンサー離れはどこまで回復した?2025年の問題発生後、フジテレビではスポンサー企業によるCM差し替えが相次ぎました。
広告収入への影響は大きく、企業としての信頼回復だけでなく、経営面でも立て直しが必要になりました。
2026年1月30日の会見で清水社長は、スポンサー数が前年同月比で約93%まで回復したと説明しています。
また、スポット広告については80%台半ばまで戻ったとし、4月の番組改編で100%に近づける目標を示しました。
その後の6月23日時点では、フジテレビの発表によると、2024年度の事案発生前と比較して、ネットタイム広告は100%を超える水準、スポット広告は97.4%まで回復する見込みとなりました。
さらに9月25日の社長会見では、放送収入が事案前の水準までほぼ回復したとの説明がありました。
スポンサー回復に関する公表数値97.4%
2026年6月23日時点のスポット広告収入の回復水準。2024年度との比較で、会社が公表した見込み値。
2026年1月
93%
スポンサー数の前年同月比
2026年6月
97.4%
スポット広告収入の2024年度比
2026年9月
会社発表では放送収入が事案前の水準までほぼ回復
ただし、スポンサー数、広告収入、広告単価は別の指標です。
スポンサー数が93%に戻ったからといって、広告収入全体も93%に回復したという意味ではありません。
また、広告単価については清水社長が非開示としており、出稿企業の数だけで完全な経営回復を判断することはできません。
フジ・メディア・ホールディングスの経営改革親会社のフジ・メディア・ホールディングスも、テレビ局単体の改革にとどまらない経営構造の見直しを進めています。
2026年5月に新たな中期経営計画「グループビジョン」を策定し、2030年度のROEと営業利益の目標達成を掲げました。
主な方向性は次の3つです。
1. メディア・コンテンツ事業の収益力を高める。
2. 都市開発・観光事業への外部資本導入を検討する。
3. IP・コンテンツを中心とした事業構造に転換する。
6月の社長会見では、都市開発・観光事業への外部資本導入について、複数の事業会社やファンドから問い合わせがあり、手法や時期、規模を検討していると説明しました。
これは、テレビ放送を中心とした従来の事業モデルから、コンテンツの制作・配信・海外展開を含む収益構造へ移行する動きでもあります。
2026年9月時点の業績にも変化9月25日の社長会見では、フジ・メディア・ホールディングスの2026年度第1四半期の連結営業利益が、2008年10月の持株会社制導入以来の過去最高になったと説明されました。
フジテレビを含むメディア・コンテンツ事業も、現在のセグメント区分に変更された2018年度以降で最高益となっています。
また、FODの売上高は前年同期比約54%増となり、8月末時点の会員数も過去最高を更新したと公表されました。
ただし、こうした業績改善は、第三者委員会が指摘した人権問題や企業風土の課題がすべて解決したことを意味しません。
広告収入の回復と、社会からの信頼回復は、別々に評価する必要があります。
【プロの結論】10時間23分の会見が残した本当の課題
2025年1月27日の再会見は、単に長時間だったという理由だけで記憶されるものではありません。
フジテレビという大手メディア企業が、経営判断、組織風土、被害申告への対応、報道機関としての説明責任を同時に問われた出来事でした。
今回の経緯から読み取れる要点は3つあります。
1.オープンな会見を開くことと説明責任を果たすことは違う191媒体、437人を集めた会見は、情報公開の姿勢を示すものでした。
しかし、参加者が多く、質問時間が長いことだけで、説明が十分だったとは判断できません。
重要なのは、経営陣が何を把握していたのか、どのような判断をしたのか、問題をどう改善するのかを具体的に説明できることです。
2.第三者委員会の報告書は改革の出発点調査報告書で指摘されたのは、個人の判断ミスだけではありませんでした。
被害申告を受け止める仕組み、経営陣を監督する仕組み、社員が問題を外部に相談できる仕組みなど、企業統治の根本的な課題が浮かび上がりました。
したがって、取締役会の構成を変更するだけでなく、実際に社員が安心して働ける環境になったかどうかが重要です。
3.スポンサーの復帰だけでは信頼回復を証明できない広告収入の回復は、企業経営にとって大きな前進です。
しかし、スポンサーが広告出稿を再開することと、視聴者や従業員が会社を信頼することは同じではありません。
人権侵害への対応、内部通報制度の実効性、ハラスメント防止、外部監督の継続などを長期的に確認する必要があります。
フジテレビの改革を評価するときは、次の3つを判断基準にすると、表面的なニュースに左右されにくくなります。
- 経営面: スポンサー数だけでなく、広告収入や事業利益が持続的に改善しているか。
- 組織面: 外部の監督や人権救済の仕組みが実際に機能しているか。
- 社会面: 被害申告への対応や企業文化が改善し、視聴者からの信頼につながっているか。
【フジテレビ会見終了】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:フジテレビの再会見は何時に終了しましたか?
A1:2025年1月28日午前2時23分です。1月27日午後4時に始まり、10時間23分にわたって開催されました。
Q2:フジテレビの再会見には何人が参加しましたか?
A2:191媒体、437人の取材関係者が参加しました。メディアを限定しないオープン形式で行われました。
Q3:会見に出席した港浩一氏と嘉納修治氏はどうなりましたか?
A3:港浩一氏はフジテレビ社長、嘉納修治氏は会長を務めていましたが、2025年1月27日付でともに辞任しました。後任の社長には清水賢治氏が就任しました。
Q4:第三者委員会は何を認定しましたか?
A4:中居正広氏と女性の間の事案について、性暴力による被害があったと認定し、フジテレビの業務の延長線上における事案と評価しました。また、会社の事後対応や組織風土にも厳しい指摘を行いました。
Q5:2026年現在、スポンサーは戻っていますか?
A5:会社発表によると、2026年1月のスポンサー数は前年同月比93%、6月23日時点のスポット広告収入は2024年度比97.4%でした。9月の社長会見では放送収入が事案前の水準までほぼ回復したと説明されています。
Q6:2026年のフジテレビは何を改革していますか?
A6:人権方針の徹底、取締役会の刷新、独立社外取締役の過半数化、女性役員比率30%以上、コンプライアンス体制の強化などです。親会社も中期経営計画に基づく事業構造改革を進めています。
フジテレビ会見終了時刻は、2025年1月28日午前2時23分。191媒体・437人が参加した再会見は、開始から10時間23分という異例の長さになりました。
その後、港浩一氏と嘉納修治氏の辞任、清水賢治氏の社長就任、第三者委員会による調査報告書の公表を経て、フジテレビは経営と組織の改革に取り組んできました。
2026年にはスポンサーや広告収入の回復が進み、フジ・メディア・ホールディングスも新たな中期経営計画を打ち出しています。
一方で、最も重要なのは、数字上の回復だけではありません。
被害申告を適切に受け止める企業になったのか。経営陣に対する監督機能は働いているのか。社員が安心して意見を述べられる組織になったのか。
これらの問いに継続的に答えられるかどうかが、フジテレビの本当の再生を左右します。
10時間23分の会見は終わりました。しかし、社会からの信頼を取り戻すための取り組みは、まだ終わっていません。