FCふじざくら山梨は、2026年のなでしこリーグ2部を2位で終えた。単に順位を上げただけではなく、クラブの歴史において初めて1部・2部入替戦への出場権を獲得したシーズンとなった。
2026年なでしこリーグ2部の最終順位公式順位表によると、FCふじざくら山梨の最終成績は11勝6分5敗。22試合で34得点、18失点、得失点差はプラス16だった。
順位を争ったスペランツァ大阪も勝ち点39で並んだが、FCふじざくら山梨は2位を確保。優勝した吉備国際大学Charme岡山高梁には勝ち点15差をつけられたものの、2位という結果で昇格への挑戦権を手にした。
2026年なでしこリーグ2部・上位順位
| 順位 | チーム | 勝ち点 | 試合数 | 得失点差 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 吉備国際大学Charme岡山高梁 | 54 | 22 | +37 |
| 2位 | FCふじざくら山梨 | 39 | 22 | +16 |
| 3位 | スペランツァ大阪 | 39 | 22 | +10 |
| 4位 | ディアヴォロッソ広島 | 37 | 22 | +8 |
| 5位 | レノファ山口FCレディース | 33 | 22 | +6 |
注目したいのは、22試合で34得点を挙げながら、失点を18に抑えた点だ。得失点差プラス16という数字は、攻守のバランスが取れたチームであることを示す材料になる。
2位という結果が持つ意味FCふじざくら山梨は2023年になでしこリーグ2部へ参入した。2026年は参入4年目に当たり、今回の2位はクラブが公式に紹介する過去最高順位である。
2022年にはなでしこリーグ入替戦を経て2部昇格を果たした。そこから4年目で1部昇格を懸けた入替戦に進出したことは、クラブの競技面での成長を示している。
ただし、2部で2位になっただけでは自動昇格できない。2部優勝チームには自動昇格の権利が与えられる一方、2位チームは1部11位との入替戦に勝つ必要がある。この制度が、11月8日の試合を特別な一戦にしている。
【入替戦の焦点】日体大SMG横浜との初戦1-1、11月8日の第2戦で決着

2026年11月1日、富士山GXスタジアムで開催された入替戦第1戦。FCふじざくら山梨は、なでしこリーグ1部11位の日体大SMG横浜と対戦した。
クラブにとって初めての1部・2部入替戦。ホームで先勝したいFCふじざくら山梨だったが、試合は簡単には進まなかった。
11月1日の試合展開と林知奈の劇的ゴール前半は両チームとも得点できず、0-0で終了。FCふじざくら山梨は日体大SMG横浜のスピードを生かした攻撃やロングボールへの対応に苦しみながらも、GK出口春奈を中心にゴールを守った。
後半も一進一退の展開が続いたが、後半36分に日体大SMG横浜が先制。ホームのFCふじざくら山梨にとっては厳しい状況となった。
しかし、試合は最後まで終わらなかった。
後半アディショナルタイム2分、林知奈が同点ゴールを記録。相手のクリアボールを回収すると、ドリブルで前進して左足を振り抜き、ゴール左隅へシュートを決めた。
このゴールによって試合は1-1で終了。FCふじざくら山梨は土壇場で敗戦を回避し、第2戦に昇格の可能性を残した。
この試合の公式発表によると、来場者数は1,304人。クラブ初の入替戦を見届けようと、富士北麓に多くの観客が集まった。
第2戦の日程・会場・キックオフ時間11月8日(日)13:00
FCふじざくら山梨
なでしこリーグ2部・2位VS
日体大SMG横浜
なでしこリーグ1部・11位
会場:日産フィールド小机
日体大SMG横浜のホームゲーム。第2戦の公式日程は両クラブの発表で確認できる。
出典:FCふじざくら山梨公式試合日程、日体大SMG横浜公式スケジュール
今回の入替戦は、ホーム&アウェイ方式による2試合制だ。日本女子サッカーリーグの大会実施要項では、単純な2試合の合計得点だけではなく、まず勝利数によって勝者を決めるルールになっている。
第1戦が1-1の引き分けだったため、第2戦の結果によって以下のように状況が変わる。
- 90分でFCふじざくら山梨が勝利: 勝利数で上回り、1部昇格が決定する。
- 90分で引き分け: 2試合の勝利数と得失点差が同じになるため、30分間の延長戦を実施。それでも決着しなければPK戦となる。
- 90分でFCふじざくら山梨が敗北: 日体大SMG横浜が勝者となり、FCふじざくら山梨は2部に残留する。
つまり、FCふじざくら山梨にとって最も明確な昇格条件は第2戦で勝つこと。引き分けの場合も、延長戦とPK戦で勝利すれば昇格できる。
なお、入替戦の規定では、勝利数が同じ場合は2試合の得失点差を比較し、それでも同じ場合に延長戦、PK戦の順で勝者を決定する。アウェーゴール数を優先する方式ではない。
第2戦で注目したいポイント第1戦の試合レポートから読み取れる課題は、日体大SMG横浜のロングボールと前線のスピードへの対応だ。特にセカンドボールの回収が十分にできず、自陣で守備を続ける時間が生まれていた。
一方、FCふじざくら山梨は最後まで攻撃を諦めず、途中出場のワイアット漢乃や辻野友実子らも攻撃に変化を加えた。林知奈の同点弾は、選手交代を含めて最後まで得点を狙う姿勢が結果につながった場面だった。
第2戦では、相手の速い攻撃をどう抑えるかに加え、ボールを奪った後に自分たちの攻撃時間をどれだけ確保できるかが焦点になる。第1戦の終盤に見せた粘り強さを、敵地でも発揮できるかが問われる。
【監督・選手一覧】平山茶久美監督と2026年のメンバーを紹介
平山茶久美監督のプロフィールと指導歴2026年トップチーム監督
- 生年月日:1984年6月28日
- 出身地:北海道
- 選手歴:札幌リンダ、東京女子体育大学、ノルディーア北海道など
- 指導歴:中学校女子サッカー指導、女子トレセン、山梨学院大学女子サッカー部など
平山茶久美監督は、2024年2月にFCふじざくら山梨のコーチとして就任し、2025年12月までチームを支えた。2026年1月から監督に就任し、クラブ初の女性監督としてトップチームを率いている。
日本サッカー協会公認A級コーチライセンスを保有し、中学校教諭の保健体育免許なども持つ。選手としての経験だけでなく、教育現場や女子サッカーの育成現場で積み上げた指導経験が特徴だ。
クラブの公式スタッフ発表では、田口友久スポーツダイレクターをはじめ、坂田悠香コーチ兼フィジカルコーチ、小嶋伶央GKコーチらがスタッフとして名を連ねている。
FCふじざくら山梨の2026年選手一覧2026年の公式選手・スタッフ一覧に掲載されているトップチームの選手は以下の26人。第1戦の先発メンバーと途中出場選手も、この登録メンバーに含まれる。
2026年トップチーム選手一覧
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第1戦のスターティングメンバーは、GK出口春奈、DF高村ちさと・五味小暖・奈良美沙季、MF源関清花・小鍜治旭・菅百花・三田幸望、FW大矢歩・脇田紗弥・寺田心春の11人だった。
特に注目したいのが、後半アディショナルタイムに同点ゴールを決めた背番号21の林知奈だ。90分から途中出場し、わずかな時間で試合の流れを変えた。
また、途中出場のワイアット漢乃は攻撃に変化を加え、辻野友実子も交代出場している。第2戦でも、スターティングメンバーだけでなく、試合途中に流れを変える選手の起用が重要になる。
公式選手紹介では、それぞれの選手の出身地、経歴、得意なプレー、競技以外の目標も公開されている。選手個人のキャリアや将来像まで知ると、クラブの理念がピッチ外にも広がっていることが分かる。
【クラブの原点】鳴沢村とプレイングワーカーの理念とは?
2018年設立、山梨県の花から名付けられたクラブFCふじざくら山梨は、一般社団法人ふじざくらスポーツクラブが運営する女子サッカークラブだ。クラブの設立年月日は2018年11月20日。2019年に山梨県の県花である「ふじざくら」をクラブ名に採用し、活動をスタートさせた。
クラブが掲げる企業理念は「FCふじざくら山梨に関わる人たちの人生をより豊かにする」というもの。単に勝利や昇格だけを目標にするのではなく、選手、スタッフ、地域住民、パートナー企業など、クラブに関わる人々の人生を豊かにすることを重視している。
2022年にはなでしこリーグ2部への昇格を実現。2023年から2部で戦い、2026年にはクラブ最高順位の2位に到達した。今回の入替戦は、競技面で積み上げてきた歩みを次の段階につなげる機会でもある。
プレイングワーカーとは何かFCふじざくら山梨を理解するうえで欠かせない言葉が「プレイングワーカー」だ。
これは、サッカー選手として一流を目指すだけでなく、社会人としても自立し、仕事や地域活動を通じて価値を生み出せる人材を育てるという考え方である。
クラブは、女子サッカー選手が競技を引退した後のセカンドキャリアを重要な社会課題として捉えている。現役時代から社会経験を積み、自分の意思で将来を選択できる選手を育てることを目指している。
この考え方は、単なるスローガンにとどまらない。選手が地域イベントを企画したり、サッカー教室の運営に関わったり、企業との活動に参加したりすることも、クラブの活動の一部になっている。
日本女子サッカーリーグの2025年9月の特集記事では、選手が自ら地域活動の目標を設定し、企画や運営、振り返りまで主体的に取り組む仕組みが紹介されている。加えて、先輩選手が新加入選手をサポートするメンター制度も導入されている。
FCふじざくら山梨をめぐる人物・組織・地域の関係クラブを取り巻く関係性を整理すると、競技活動、地域貢献、選手のキャリア形成が一つの組織の中で結び付いていることが分かる。
【ホームスタジアムと地域活動】富士山GXスタジアム・鳴沢村との関係
富士山GXスタジアムはどこにある?FCふじざくら山梨の2026年入替戦第1戦が開催された会場は、山梨県の富士北麓公園にある富士山GXスタジアムだ。
この競技場は、2025年まで「富士山の銘水スタジアム」と呼ばれていたが、2026年1月1日から「富士山GXスタジアム」に名称が変更された。
富士山を望む富士北麓公園内に位置し、今回の入替戦ではFCふじざくら山梨のホームゲーム会場として使用された。
なお、所在地の整理には注意が必要だ。富士山GXスタジアムは富士吉田市にある富士北麓公園の施設であり、クラブのホームタウンである鳴沢村とは別の場所に位置する。
ホームタウン・鳴沢村とFUJI VILLAGEFCふじざくら山梨のホームタウンは、山梨県南都留郡鳴沢村。富士山の北麓に位置する自然豊かな地域だ。
クラブ公式サイトの「HOME GROUND」には、鳴沢村にあるFUJI VILLAGEが掲載されている。クラブの拠点を理解する際には、試合を開催する競技場と、日常的な活動の拠点を区別しておきたい。
鳴沢村との関係は、単にクラブの所在地というだけではない。地域住民と継続的に交流するホームタウン活動が、クラブ運営の柱の一つになっている。
サッカー教室や健康づくりで地域に貢献日本女子サッカーリーグが2025年に掲載した地域活動の特集では、FCふじざくら山梨が鳴沢村で行っている具体的な取り組みが紹介されている。
代表的な活動は次のとおりだ。
- 小学生を対象とした定期的なサッカー教室
- 子どもの運動能力や運動習慣を育てるアクティブ教室
- 大人向けの軽運動プログラム
- ヨガなどを通じた健康づくり
- 選手が企画・運営に関わる地域交流活動
特徴的なのは、サッカー経験者だけを対象にしていないことだ。子どもだけでなく、働き盛り世代や親子、祖父母世代まで参加できる活動を展開している。
日本女子サッカーリーグの特集記事では、鳴沢村の住民アンケートで20~69歳の約6割がほとんど運動していないという結果を受け、働き盛り世代向けの軽運動教室が企画された経緯も紹介されている。
こうした活動は、クラブを知らない住民が選手と接する機会にもなる。競技場に足を運ぶだけでは生まれにくい関係を、日常の地域活動によって築いている点が特徴だ。
FCふじざくら山梨の評判をどう見るべきかクラブの評判を判断する際には、SNS上の話題性だけでなく、実際の地域活動や観客動員、企業との協働に目を向ける必要がある。
2026年11月1日の入替戦第1戦では1,304人が来場した。クラブ公式の試合レポートでは、メインフィールドが満員となり、グリーンフィールドにも500人を超える観客が集まったと報告されている。
また、クラブはパートナー企業を単なるスポンサーではなく、共にクラブをつくる存在として位置付けている。2022年からは、女性が輝く社会を目指す共創社会ゴールドパートナーという取り組みも進めている。
こうした実績から見えるのは、FCふじざくら山梨が競技成績だけで評価されるクラブではないということだ。地域との接点、女子スポーツの社会的価値、選手のキャリア形成という複数の軸で活動している。
もちろん、観客数や地域活動の実績だけで、すべての住民から高い評価を受けていると断定することはできない。それでも、継続的な地域連携と入替戦での観客動員は、クラブが地域に浸透していることを示す具体的な材料となる。
【よくある質問】FCふじざくら山梨に関するFAQ
Q1:FCふじざくら山梨は2026年のなでしこリーグ2部で何位でしたか?
A1:22試合を戦い、11勝6分5敗、勝ち点39で2位でした。得点34、失点18、得失点差はプラス16です。
Q2:日体大SMG横浜との入替戦第1戦の結果は?
A2:2026年11月1日に開催され、1-1の引き分けでした。FCふじざくら山梨は後半アディショナルタイム2分に林知奈が同点ゴールを決めています。
Q3:第2戦はいつ、どこで開催されますか?
A3:2026年11月8日(日)13時キックオフ予定です。会場は神奈川県の日産フィールド小机で、日体大SMG横浜のホームゲームとして開催されます。
Q4:FCふじざくら山梨が1部に昇格する条件は?
A4:第2戦に勝利すれば昇格が決まります。90分で引き分けた場合は、2試合の勝利数と得失点差が同じになるため、延長30分とPK戦で勝者を決定します。
Q5:2026年の監督は誰ですか?
A5:平山茶久美監督です。2024年からコーチを務め、2026年1月に監督へ就任しました。クラブ初の女性監督としてチームを率いています。
Q6:FCふじざくら山梨のホームタウンはどこですか?
A6:山梨県南都留郡鳴沢村です。地域ではサッカー教室やアクティブ教室、軽運動、ヨガなどを通じた交流活動を行っています。
Q7:プレイングワーカーとは何ですか?
A7:競技者として優秀であると同時に、社会人としても自立し、仕事や地域活動を通じて社会に貢献できる人材を意味します。FCふじざくら山梨が大切にしている人材育成の理念です。
FCふじざくら山梨の2026年シーズンは、クラブの成長を象徴する重要な節目を迎えている。
なでしこリーグ2部では22試合39勝ち点を獲得して2位。クラブ最高順位を更新し、初めて1部・2部入替戦に進出した。11月1日の第1戦では日体大SMG横浜に先制されたものの、林知奈の後半アディショナルタイムのゴールによって1-1で引き分けている。
そして、11月8日の第2戦。勝利すれば、2027年シーズンのなでしこリーグ1部への昇格が決まる。
競技面では、相手のスピードやロングボールへの対応、セカンドボールの回収が重要な課題になる。一方で、最後まで諦めずに同点に追いついた精神力は、次の試合に向けた大きな材料だ。
もう一つ見逃せないのが、クラブが掲げるプレイングワーカーという理念である。サッカーの成績だけを追うのではなく、鳴沢村との連携や地域活動、選手のセカンドキャリアまで考えたクラブづくりを進めている。
プロの視点から評価すると、今回の1部昇格への挑戦は、単なるカテゴリー変更ではない。女子サッカー選手の新しい働き方を提示し、地域と共に成長してきたクラブモデルを、より高い競技レベルで実現できるかどうかを試す機会でもある。
FCふじざくら山梨の次の目標は、11月8日の入替戦第2戦で勝利し、1部昇格をつかむこと。富士北麓から始まった挑戦が、神奈川でどのような結末を迎えるのか。平山茶久美監督と選手たちの戦いに注目したい。