上本崇司の現役引退後の所属先は、長年プレーした広島東洋カープだ。2025年12月8日、球団は上本氏が2026年1月1日付でスタッフに就任する人事を発表した。
新しい役職は、次のとおりだ。
- 所属:広島東洋カープ
- 部署:情報処理部・情報分析課
- 役職:アナリスト
- 担当:主に2軍の野手
- 業務開始予定:2026年1月5日
スポニチの2025年12月9日付報道によると、上本氏は2軍野手専任のアナリストとして活動する予定で、従来は迎祐一郎3軍野手総合コーチが兼務していたアナリスト業務に新たに加わる形となった。
球団アナリストとはどのような仕事なのかアナリストの仕事は、選手の感覚だけに頼らず、数値を使ってパフォーマンスの改善をサポートすることだ。
報道によると、上本氏が携わる業務では、ブラストモーションなどの計測機器を使用し、次のようなデータを分析する。
- スイングスピード
- スイング軌道
- 打球速度
- 打球角度
- 選手ごとの打撃傾向や改善点
こうした情報を選手にフィードバックし、技術向上につなげる。
特に注目したいのは、上本氏自身が現役時代に打撃データを十分に活用できなかったという反省を持っている点だ。
自身の打撃について、パワーに対して打球角度が高くなりすぎていたことや、スイング軌道に課題があったことを振り返っている。
つまり、データの重要性を理解しているだけでなく、選手がデータを活用しきれない理由も経験として知っている。
上本崇司が掲げる引退後の目標上本氏が新しい仕事について語ったのは、若手選手の1軍定着を支援することだった。
特に2軍には、能力を持ちながらも結果につなげられていない選手がいる。現役時代にさまざまな役割を経験した上本氏は、技術だけでなく練習方法や考え方にも改善の余地を感じていたという。
「若い選手に1軍で活躍してもらいたい」
これは就任に際して報じられた上本氏の目標を端的に表している。
現役時代には、代走、守備固め、スタメン、代打と幅広い役割を経験した。選手が置かれた状況によって必要なサポートが異なることも理解しているはずだ。
今後は自らグラウンドで結果を出すのではなく、選手が結果を出せる環境を整える側に回った。その転身は、カープで培った経験を別の形で還元する選択といえる。
【引退理由を検証】上本崇司はなぜ2025年に現役を引退したのか

上本崇司の引退は、単純に打撃成績が低下したからという理由だけでは説明できない。
直接のきっかけは、2025年10月1日に広島東洋カープから来季の契約を結ばない旨を伝えられたことだった。
しかし、本人の発言や引退前の状況を振り返ると、身体的な負担、年齢、出場機会、今後のキャリアに対する考えが重なった決断だったことが分かる。
2025年10月1日の戦力外通告が転機に広島は2025年10月1日、上本を含む8選手に来季の契約を結ばないことを通達したと発表した。
上本氏は球団との話し合いを終えた後、現役引退の意向を明らかにした。
本人は、13年間のプロ生活を振り返り、身体の状態について率直に語っている。
「正直、体もボロボロ」
加えて、長く野球を続けてきたことへの満足感があり、引退については悔いがないという趣旨の発言もしている。
日刊スポーツやデイリースポーツの報道でも、戦力外通告を受けた当日に引退を決断したことが伝えられた。
引退を決めた3つの背景1. 長年続いた故障と身体的な限界
上本氏は30歳を過ぎてから、太もも裏、膝、右肘など、複数の部位の故障に悩まされてきた。
Number Webの2025年10月13日付インタビューでは、本人がここ5〜6年間、毎年のようにけがをしていたと振り返っている。
2025年シーズンも終盤に右太もも裏を痛め、9月はリハビリに費やした。
2軍では打率3割を記録するなど、打撃面での手応えは残っていたものの、身体が思うように動かないという葛藤があった。
2. 1軍での出場機会が減少したこと
2025年の上本は、1軍で21試合の出場にとどまった。
一方、若手選手の育成を優先するチーム事情も理解していた。
本人は、チームの若返りを考えれば、自分より若い選手に出場機会を与えることが現実的だと感じていたという。
ベテランとしてチームを支えてきた上本だからこそ、選手としての自分の立ち位置を冷静に受け止めていた。
3. 他球団で現役を続ける選択をしなかったこと
注目したいのは、上本氏が戦力外通告を受けた後、別の球団でプレーを続ける道を選ばなかった点だ。
本人はインタビューで、戦力外と言われた場合は野球を続けるつもりがなかったと説明している。
体の状態、実力、年齢を総合的に考え、現役にしがみつく選択はしなかった。
これは、単にプレーする場所を失ったという話ではない。13年間のキャリアを自分自身で区切り、新しい人生に進む決断だった。
2025年10月4日、涙の現役最終打席上本の現役最後の姿が見られたのは、2025年10月4日のヤクルト戦だった。
マツダスタジアムで行われた広島の今季最終戦。7回1死から代打として登場した。
打席に向かう段階から涙があふれ、最後は5球目を打って遊ゴロに倒れた。
試合後には引退セレモニーが行われ、チームメートやファンに別れを告げた。
この試合は広島が1対3で敗れたものの、上本にとっては13年間のプロ野球人生を締めくくる特別な一日となった。
当初、最終戦への出場予定はなかったが、新井貴浩監督らの働きかけによって実現したとNumber Webは伝えている。
上本崇司は、広島県にゆかりの深い野球選手として成長し、地元球団の広島東洋カープで13年間プレーした。
NPBの選手プロフィールによると、1990年8月22日生まれ。右投右打で、身長170cm、体重76kg。経歴は広陵高校、明治大学、広島東洋カープとなっている。
広陵高校時代:高校野球の名門で実力を磨く上本は広島県の強豪・広陵高校で野球に取り組んだ。
広陵高校は数多くのプロ野球選手を輩出してきた名門校で、上本もその環境で技術と精神力を磨いた。
高校時代には甲子園に出場し、2年春にベスト8、2年夏には準優勝を経験している。
また、兄の上本博紀も広陵高校出身で、後に阪神タイガースでプレーしたプロ野球選手だ。
明治大学時代:大学野球で経験を積む高校卒業後は明治大学に進学した。
明治大学でも野球を続け、大学野球を通じてプロ入りを目指した。
広陵高校から明治大学という経歴は、技術力だけでなく、競争の激しい環境で経験を積んできたことを示している。
2012年ドラフト3位で広島東洋カープに入団2012年のドラフト会議で、広島東洋カープから3位指名を受けて入団。
2013年にプロ1年目を迎え、30試合に出場した。
プロ入り直後から主に代走や守備固めとして起用され、チームの勝利を支える役割を担った。
その後、2016〜2018年のリーグ3連覇を経験。レギュラーとして常時出場するタイプではなかったが、複数のポジションを守れる選手として存在感を高めていった。
上本崇司の主な経歴・転換点一覧| 時期 | 出来事 | キャリア上の意味 |
|---|---|---|
| 高校時代 | 広陵高校でプレー | 甲子園出場、準優勝を経験 |
| 大学時代 | 明治大学に進学 | 大学野球で経験を積む |
| 2012年 | ドラフト3位で広島入団 | プロ入りが決定 |
| 2013年 | 1軍で30試合出場 | プロ1年目 |
| 2016〜2018年 | カープのリーグ3連覇 | 代走・守備固めなどで貢献 |
| 2022年 | 94試合、打率.307 | 自己最高の打撃成績 |
| 2023年 | 84試合、代打打率.467 | 4番打者も経験 |
| 2025年10月1日 | 戦力外通告、引退決断 | 13年間の現役生活に区切り |
| 2025年10月4日 | 現役最後の打席 | 引退セレモニー |
| 2026年1月1日 | 球団アナリスト就任 | 新たなキャリアを開始 |
【通算562試合を分析】上本崇司の年度別成績と2022年の活躍
上本崇司のプロ野球人生を数字から振り返ると、キャリアを通じて安定した守備と走塁で貢献しながら、後半には打撃でも結果を残したことが分かる。
NPB公式の2025年シーズン終了時点の個人年度別成績では、通算562試合、211安打、3本塁打、50打点、23盗塁、打率.250を記録している。
上本崇司の通算成績562
通算出場試合.250
通算打率211
通算安打23
通算盗塁
| 成績項目 | 通算記録 |
|---|---|
| 試合 | 562 |
| 打席 | 966 |
| 打数 | 844 |
| 安打 | 211 |
| 二塁打 | 24 |
| 三塁打 | 2 |
| 本塁打 | 3 |
| 打点 | 50 |
| 盗塁 | 23 |
| 打率 | .250 |
| 出塁率 | .317 |
| 長打率 | .294 |
※NPB公式記録。2025年シーズン終了時点。
上本崇司の年度別成績以下はNPB公式記録に基づく1軍の年度別打撃成績だ。
| 年度 | 試合 | 打率 | 安打 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 2013 | 30 | .077 | 2 | プロ1年目 |
| 2014 | 18 | .286 | 2 | 限られた打席で出場 |
| 2016 | 7 | .000 | 0 | 出場機会が限定的 |
| 2017 | 37 | .125 | 1 | 代走・守備面で貢献 |
| 2018 | 59 | .091 | 1 | 3連覇の時期 |
| 2019 | 31 | .143 | 3 | 出場機会が減少 |
| 2020 | 56 | .212 | 11 | 打撃面で改善 |
| 2021 | 63 | .273 | 15 | 打率が上昇 |
| 2022 | 94 | .307 | 80 | 自己最高のシーズン |
| 2023 | 84 | .259 | 64 | 代打・複数ポジションで活躍 |
| 2024 | 62 | .209 | 27 | 出場機会が減少 |
| 2025 | 21 | .185 | 5 | 現役最終年 |
| 通算 | 562 | .250 | 211 | 13年間の記録 |
出典:日本野球機構(NPB)個人年度別成績。
2022年はプロ10年目にしてキャリアハイを記録上本の現役時代を語るうえで、2022年は外せない。
プロ10年目にして初めて開幕スタメンを勝ち取り、94試合に出場。80安打、2本塁打、18打点、打率.307を記録した。
特に注目したいのは、規定打席には到達していないものの、打率3割を超える結果を残したことだ。
それまでの上本は、主に守備や走塁で貢献する選手として認識されていた。しかし、2022年には打撃でもチームを支えられることを証明した。
6月まで打率.328を記録した時期もあり、レギュラー定着への期待も高まった。
2023年は代打打率.467、初の4番も経験2023年も重要なシーズンだった。
1軍で84試合に出場し、打率.259、64安打、1本塁打、17打点、8盗塁を記録。
特に代打では、15打数7安打で打率.467という優れた成績を残した。
また、シーズン中には初めて4番打者としてスタメン出場。新井貴浩監督のもとで、打線のつなぎ役として期待に応えた。
上本は打順や守備位置を限定されず、チーム状況に合わせて役割を変えられる選手だった。こうした柔軟性が、長期間にわたって1軍に在籍できた理由の一つと考えられる。
【守備位置と選手としての強み】上本崇司が重宝された理由とは?
上本崇司の大きな特徴は、内野を中心に外野まで守れるユーティリティー性だった。
NPBの選手登録上のポジションは内野手だが、実際の試合では複数の守備位置を経験している。
上本崇司が守った6つのポジション2018年の春季キャンプに関する日刊スポーツの報道では、上本が三塁、遊撃、二塁に加え、外野の全ポジションに挑戦していたことが紹介されている。
| 守備位置 | ポジション名 | チームへの役割 |
|---|---|---|
| 二塁手 | セカンド | 内野の守備を支える |
| 三塁手 | サード | 三塁の守備を担当 |
| 遊撃手 | ショート | 内野の中心を担う |
| 左翼手 | レフト | 外野の守備に対応 |
| 中堅手 | センター | 広い守備範囲に対応 |
| 右翼手 | ライト | 外野の複数ポジションを担当 |
守備位置が多いことは、単なる器用さだけを意味しない。
プロ野球では、主力選手の故障や休養、試合終盤の守備固めなど、さまざまな事情で選手交代が発生する。
複数のポジションに対応できる選手がいれば、監督は選手交代や守備変更の選択肢を増やせる。
上本はこの点で非常に価値の高い存在だった。
代走・守備固めからスタメンまで対応したユーティリティープレーヤー上本の特徴は守備だけではない。
プロ入り当初は代走や守備固めが中心だったが、経験を積むにつれて打撃面でも成長した。
2022年には開幕スタメンを勝ち取り、2023年には1〜8番までの打順を経験。状況に応じて異なる役割を任された。
特に、2023年に代打打率.467を記録したことは、控え選手としての価値を示す重要な数字だ。
出場機会が限られる選手は、試合に入ってすぐ結果を求められることが多い。代打や守備固めでは、試合勘を維持することも難しい。
そうした環境で結果を残してきた経験は、今後のアナリスト業務でも役立つ可能性がある。
【プロの結論】上本崇司の本当の価値は数字だけでは測れない上本の通算打率は.250であり、打撃成績だけを見れば、突出したスラッガーというタイプではない。
しかし、プロ野球選手の評価は打率や本塁打だけでは決まらない。
- 複数ポジションを守れる柔軟性
- 代走や守備固めに対応する能力
- 控えからスタメンまで役割を変えられる適応力
- チームの状況を理解して行動する経験
- 代打でも結果を残せる準備力
こうした能力を13年間にわたって発揮したことに、上本の価値がある。
そして、これらは若手選手を支えるアナリストという仕事にもつながる。
データだけでは分からない選手の心理や、出場機会が限られる選手の難しさを理解していることは、上本ならではの強みになるはずだ。
【よくある質問】上本崇司の現在・引退・成績に関するFAQ
Q1:上本崇司は2026年現在、何をしている?
A1:広島東洋カープの球団アナリストとして活動する立場に転身した。2026年1月1日付で情報処理部・情報分析課に就任し、主に2軍の野手を担当する。
Q2:上本崇司の引退理由は何?
A2:2025年10月1日に戦力外通告を受けたことが直接のきっかけ。長年の故障や身体的な負担、年齢、今後の出場機会などを考慮し、本人が現役引退を決断した。
Q3:上本崇司の通算成績は?
A3:NPB公式記録では、通算562試合、211安打、3本塁打、50打点、23盗塁、打率.250。2013年から2025年まで広島東洋カープ一筋でプレーした。
Q4:上本崇司が最も活躍したシーズンはいつ?
A4:2022年だ。94試合に出場し、打率.307、80安打、2本塁打、18打点を記録。初の開幕スタメンも経験した。
Q5:上本崇司の守備位置は?
A5:登録上は内野手。二塁、三塁、遊撃に加え、左翼、中堅、右翼も守れるユーティリティープレーヤーだった。
Q6:上本崇司は引退後も広島カープに所属している?
A6:はい。現役選手から球団スタッフに転身し、引き続き広島東洋カープに所属する形で新しいキャリアをスタートさせた。
上本崇司は、2025年シーズン限りで13年間の現役生活を終えた。しかし、広島東洋カープとの関係が終わったわけではない。
2026年1月1日付で球団アナリストに就任し、主に2軍の野手を担当する新しいキャリアを歩み始めた。
今回の経歴を振り返ると、押さえておきたい要点は次のとおりだ。
- 経歴:広陵高校、明治大学を経て2012年ドラフト3位で広島に入団。
- 現役時代:代走、守備固め、スタメンなど多様な役割を担当。
- 最高の打撃成績:2022年に打率.307、94試合出場を記録。
- 通算成績:562試合、211安打、打率.250。
- 引退理由:戦力外通告に加え、身体の状態や年齢などを踏まえた本人の決断。
- 引退後:2026年から2軍野手専任の球団アナリストとして活動。
上本崇司の選手人生は、スター選手として数字を積み重ねるだけのキャリアではなかった。複数のポジションを守り、限られた出場機会でもチームのために役割を果たし続けた13年間だった。
今後の注目点は、現役時代に培った経験とデータ分析をどのように組み合わせ、若手選手の成長につなげていくかだ。
選手としてカープを支えた上本崇司は、これからは分析という新しい武器でカープの未来を支えていく。 そのセカンドキャリアにも注目したい。
参考資料・情報源- 日本野球機構(NPB)「上本崇司 個人年度別成績」
- スポニチアネックス「広島・今季限り引退の上本崇司氏 2軍野手専任アナリストへ」(2025年12月9日)
- デイリースポーツ「広島 現役引退の上本氏がアナリスト就任」(2025年12月9日)
- Number Web「イップスやケガを乗り越え戦い続けた、カープ上本崇司のプロ13年間」(2025年10月13日)
- 広島アスリートマガジン「カープ一筋に駆け抜けた上本崇司が、若鯉の姿に抱いていた思い」(2025年12月8日)
- 日刊スポーツ「引退の上本崇司が涙の現役最後の打席」(2025年10月4日)
情報基準日:2026年11月2日。現役時代の成績は2025年シーズン終了時のNPB公式記録。