若林賴房氏は、1961年8月13日生まれの経営者です。2026年11月2日現在、65歳。1984年に大王製紙へ入社して以来、紙・板紙の営業部門からホーム&パーソナルケア部門まで、複数の事業領域を経験してきました。
同氏のキャリアで特徴的なのは、社外から招かれた経営者ではなく、現場の営業部門から執行役員、取締役、常務取締役を経て社長に昇格した点です。会社の事業構造を社内で理解しながら経営トップへ進んだ人物といえます。
若林賴房氏のプロフィール- 氏名: 若林賴房(わかばやし・よりふさ)
- 生年月日: 1961年8月13日
- 年齢: 65歳(2026年11月現在)
- 勤務先: 大王製紙株式会社
- 現在の役職: 代表取締役 社長執行役員
- 入社年月: 1984年4月
- 社長就任: 2021年4月1日
生年月日と役職、略歴は大王製紙の公式役員情報および2026年3月期の有価証券報告書に記載されています。学歴や家族構成などは、公式プロフィールで詳しく紹介されていません。
1984年から2026年までの経歴・年表若林氏の経歴を理解するうえで注目したいのが、新聞用紙・洋紙の営業から家庭紙事業へと担当領域を広げていることです。
出典:大王製紙公式「役員一覧」、2026年3月期有価証券報告書。
若林氏の経歴には、大王製紙の主力事業である紙・板紙とホーム&パーソナルケアの双方に関わってきたという特徴があります。
新聞用紙営業本部長や洋紙営業本部長を経験した後、ホーム&パーソナルケア国内事業部長へ移ったことは、単一の商品分野だけでなく、異なる市場の事情を理解する機会になったと考えられます。
紙・板紙事業は、原材料やエネルギーの調達、製造設備の稼働率、法人需要などが収益を左右します。一方、家庭紙事業は、消費者の商品選択、ブランド力、販売価格、商品開発力が競争力に直結します。
この両方を経験していることは、現在の大王製紙のように産業用の紙と生活者向け製品を併せ持つ企業を経営するうえで、一つの強みになり得ます。
なお、若林氏の現在の肩書や経歴は公式に確認できますが、個人的な趣味、家族、プライベートな生活については、企業の公式役員紹介に詳しい情報は掲載されていません。
【大王製紙の社長交代の経緯】2021年に佐光正義氏から若林氏へ

若林氏が社長に就任したのは2021年4月1日です。前任者は佐光正義氏で、当時の大王製紙は佐光氏が代表取締役社長から代表取締役会長へ移り、若林氏が社長に昇格する体制を発表しました。
この人事は2020年12月22日の取締役会で決議され、2021年1月26日に公表されています。つまり、突然の社長交代ではなく、事前に決定された経営体制の移行でした。
2021年の社長交代で何が変わったのか交代前の佐光正義氏は、1978年に大王製紙へ入社。ホーム&パーソナルケア事業を中心に経験を積み、2008年に取締役副社長、2011年6月に代表取締役社長へ就任しました。
2021年4月の人事では佐光氏が会長となり、若林氏が社長に就任。社長交代と同時に、それまで常務取締役だった若林氏が代表取締役社長・社長執行役員へ昇格しました。
この交代の要点は、経営経験のある社内幹部へのバトンタッチです。若林氏は1984年入社であり、社長就任時点ですでに約37年の社内経験を持っていました。
大王製紙の歴代社長を比較大王製紙は1943年の設立以来、創業者に連なる経営体制から、複数の社長を経て現在の経営体制へ移行してきました。
公開されている歴代社長の整理をもとに、主な経営トップの変遷をまとめると次のようになります。
- 井川伊勢吉氏(1943年~1987年): 創業期から事業基盤を築いた人物。
- 井川高雄氏(1987年~1995年): 創業家に連なる経営体制を担った。
- 大沢保氏(1995年~2001年): 経営トップを担当。
- 二神勝利氏(2001年~2007年): 経営トップを担当。
- 井川意高氏(2007年~2011年): 創業家出身の社長。
- 佐光正義氏(2011年~2021年): 社内で経験を積んだ経営者。
- 若林賴房氏(2021年~現在): 営業・家庭紙事業の経験を持つ現社長。
歴代社長を比較する際に注目したいのは、創業家との関係と、社内でのキャリア形成です。
井川家は大王製紙の創業と深い関係を持ち、創業者の井川伊勢吉氏から井川高雄氏、井川意高氏へと経営に関わってきました。
一方、2011年に社長となった佐光氏、2021年に就任した若林氏は、いずれも大王製紙に入社して社内で昇進した経営者です。
若林氏については、1984年の入社から営業部門、事業部門、取締役、常務取締役という段階を踏んでいることが、公式の略歴から確認できます。創業家出身かどうかではなく、社内の事業経験を積んだ人物が経営トップを担う体制に移っている点が、歴代社長との大きな違いです。
2011年の経営体制変更との関係大王製紙の経営体制を語るうえでは、2011年の出来事も無視できません。
同社は2011年9月16日、当時の代表取締役会長だった井川意高氏の辞任を発表しました。公式発表では、連結子会社からの借り入れに関するガバナンス上の問題が理由として説明されています。同日、同社は特別調査委員会を設置し、事実関係の調査を開始しました。
これは若林氏の2021年の社長就任とは別の出来事ですが、創業家中心の経営から、社内幹部を中心とする経営体制へ移行していく歴史的背景を理解するうえで重要です。
【大王製紙の2026年最新役員一覧】社長・副社長・執行役員を整理
2026年の大王製紙は、若林氏を社長執行役員とし、各事業部門とコーポレート部門を複数の執行役員が担当する体制です。
ここで重要なのは、役員の情報には基準日があることです。2026年3月期の有価証券報告書では2026年6月25日時点の役員構成が示されている一方、公式ウェブサイトの執行役員一覧は2026年10月1日現在となっています。
2026年10月1日現在の主要役員大王製紙公式役員一覧をもとに整理。
| 氏名 | 役職 | 主な担当 |
|---|---|---|
| 若林賴房 | 代表取締役・社長執行役員 | グループ経営 |
| 山﨑浩史 | 代表取締役・副社長執行役員 | 総務・人財、資源購買、リスク管理、サステナビリティ |
| 藤田浩幸 | 常務執行役員 | ホーム&パーソナルケア国内・海外事業 |
| 棚橋敏勝 | 常務執行役員 | 生産部門 |
| 品川舟平 | 常務執行役員 | 経営企画、経営管理、IT企画 |
| 藤井喜継 | 常務執行役員 | 紙・板紙事業、グローバル物流 |
このほか、上席執行役員には溝渕博士氏、小川満氏、尾﨑秀司氏、斎藤真氏、柏原隆久氏、竹島雅彦氏、長岡明男氏らが名を連ねています。
執行役員には設楽裕之氏、玉城道彦氏、久米幸夫氏、白峰幹郎氏、井川準一氏、矢野彰久氏、小島武士氏、田邊典代氏らが就任しています。
取締役会の構成とガバナンス2026年6月25日提出の有価証券報告書によると、当時の役員は男性13名、女性2名の合計15名で、女性比率は13.3%でした。
社外取締役には、織田直祐氏、堀江誠氏、政井貴子氏、岩田義浩氏らが名を連ねています。また、監査等委員には田中幸広氏、木村洋介氏、武井洋一氏、岡田恭子氏、野口昌邦氏らが就任しています。
社外取締役には、鉄鋼、商社、金融、消費財など異なる業界で経験を積んだ人物が含まれています。製紙業界の内部事情だけに偏らず、経営戦略や財務、法務などの観点を取り入れるための体制として読み取れます。
2025年6月の役職変更は社長交代なのか検索する際に混乱しやすいのが、若林氏の2025年6月の肩書変更です。
2021年4月から2025年6月までの公式略歴には「代表取締役社長 社長執行役員」と記載されています。2025年6月以降は「代表取締役 社長執行役員」と表記されています。
この変更を社長退任や別の人物への交代と解釈するのは誤りです。2026年10月の役員一覧でも、若林氏は社長執行役員として掲載されています。2026年3月期の決算短信でも代表者として氏名が記載されています。
つまり、2025年6月は肩書の表記が変わった時期であり、2021年に始まった若林氏の社長在任が終了したことを意味するものではありません。
【大王製紙の会社概要とエリエール】三島工場を基盤とする事業構造
大王製紙は、愛媛県を発祥とする総合製紙メーカーです。一般消費者にはエリエールブランドで知られていますが、事業の実態は家庭紙だけにとどまりません。
大王製紙の会社概要| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 大王製紙株式会社 |
| 英文名 | Daio Paper Corporation |
| 設立 | 1943年5月5日 |
| 代表者 | 若林賴房 |
| 資本金 | 539億円 |
| 連結従業員数 | 11,639名 |
| 東京本社 | 東京都千代田区 |
| 四国本社 | 愛媛県四国中央市 |
| 主要工場 | 三島工場・可児工場 |
| 証券コード | 3880 |
資本金・従業員数は2026年3月31日現在。売上高は2026年3月期。
は、大王製紙のホーム&パーソナルケア事業を代表するブランドです。
代表的な商品分野には、次のようなものがあります。
- ティシューペーパー
- トイレットペーパー
- キッチンタオル
- ベビー用紙おむつ
- 大人用紙おむつ
- 生理用品などのフェミニンケア用品
- ウエットティシュー
- マスク
大王製紙のホーム&パーソナルケア事業は、国内市場での商品開発や高付加価値化に加え、中国、タイ、ブラジルなど海外での生産・販売も進めています。
そのため、エリエールのブランド力は単にティシューやトイレットペーパーの販売にとどまらず、海外事業の拡大や生活用品市場での競争力にも関係しています。
四国中央市の三島工場はなぜ重要なのか大王製紙の事業基盤を理解するうえで欠かせないのが、愛媛県四国中央市にある三島工場です。
同工場は、パルプから紙・板紙までを一貫生産する大王グループの基幹工場です。公式情報によると、年間の紙・板紙生産量は約210万トンで、国内の紙・板紙生産量の約8%を占めます。
敷地面積は約167万平方メートル。新聞用紙、印刷・出版用紙、包装用紙、段ボール原紙、家庭紙など、幅広い製品を生産できる設備を備えています。
また、臨海工場という立地を生かし、原材料や燃料を船舶で搬入できることも特徴です。製紙事業では原材料の調達費とエネルギー費が収益に大きく影響するため、工場の生産効率や物流条件は経営上の重要な要素になります。
若林氏の経営を考える際にも、エリエールなどの消費者向けブランドと、三島工場を中心とした大規模な製造基盤の両方を把握しておく必要があります。
【2026年3月期の売上高と経営課題】若林社長が向き合う業績の実態
2026年の大王製紙を評価するうえで、特に注目したいのが2026年3月期の連結決算です。
2026年5月15日に公表された決算短信によると、売上高は前期比でほぼ横ばいとなる一方、営業利益と経常利益は大きく改善しました。
2026年3月期の連結業績
2026年3月期・連結売上高6,667.7億円
前期比 −0.3%
営業利益
240.32億円
経常利益
213.39億円
親会社株主に帰属する当期純利益
88.86億円
前期は111.97億円の赤字
営業利益率
3.6%
前期は1.5%
売上高が横ばいでも利益が改善した理由
2026年3月期の決算では、売上高が前期比0.3%減だったのに対し、営業利益は145.0%増となっています。
この差を理解するためには、売上規模だけでなく、事業構造とコストの変化を見る必要があります。
大王製紙の決算説明では、ホーム&パーソナルケア海外事業の構造改革による固定費削減が利益改善の要因として説明されています。加えて、国内ホーム&パーソナルケア事業ではソフトパックティシューや長尺トイレットペーパーなど、付加価値商品の伸長も利益を押し上げました。
つまり、単純に販売数量を増やすだけではなく、収益性の高い商品を伸ばし、海外事業のコスト構造を改善する方向へ経営の重点が移っていることが読み取れます。
第5次中期事業計画「Reframe ~基盤の強化~」大王製紙は2024年4月から2027年3月までを対象とする第5次中期事業計画を進めています。計画の名称は「Reframe ~基盤の強化~」です。
2026年度の計画目標には、次の数値が掲げられています。
- 売上高:7,400億円
- 営業利益:300億円
- 営業利益率:4.1%
- ホーム&パーソナルケア海外売上比率:17.6%
- ROE:4.5%
- ネットD/Eレシオ:1.2倍
ここで注意したいのは、これらは中期計画の2026年度目標であり、2026年3月期の実績ではないことです。2026年3月期の実績と2026年度の計画を混同すると、業績評価を誤る原因になります。
2026年3月期の売上高実績は6,667.7億円であり、中期計画が掲げる7,400億円との差をどう埋めるかが、その後の経営課題になります。
2026年8月の価格改定も経営上の重要材料2026年の事業環境を考えるうえでは、家庭用・業務用紙製品の価格改定も重要です。
大王製紙は2026年、家庭用・業務用製品および紙加工品について、2026年8月1日納品分から現行価格より15%以上の価格改定を実施すると発表しました。
同社はその背景として、国際情勢の影響による原材料・エネルギー価格の変動、資材調達費の上昇、中東地域の情勢不安などを挙げています。
価格改定は企業側の収益改善につながる可能性がある一方、消費者にとってはティシューやトイレットペーパーなど日用品の購入負担に関わります。価格を上げても販売数量やブランドへの信頼を維持できるかが、今後の重要な判断材料になります。
【大王製紙の社長に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:2026年現在、大王製紙の社長は誰ですか?
A1:若林賴房氏です。2021年4月1日に代表取締役社長・社長執行役員へ就任し、2026年11月現在も代表取締役社長執行役員を務めています。
Q2:若林賴房氏の年齢はいくつですか?
A2:1961年8月13日生まれで、2026年11月2日現在は65歳です。
Q3:若林賴房氏はいつ大王製紙に入社しましたか?
A3:1984年4月です。新聞用紙営業本部長、洋紙営業本部長、ホーム&パーソナルケア国内事業部長などを歴任しました。
Q4:若林賴房氏は2025年に社長を辞めたのですか?
A4:いいえ。2025年6月に公式略歴上の役職表記が「代表取締役 社長執行役員」に変わりましたが、社長職を退任したわけではありません。2026年の公式役員一覧にも社長執行役員として掲載されています。
Q5:大王製紙の前社長は誰ですか?
A5:若林氏の前任者は佐光正義氏です。2011年6月から2021年3月まで社長を務め、2021年4月に会長へ就任しました。
Q6:大王製紙の2026年3月期の売上高はいくらですか?
A6:連結売上高は6,667億7,000万円です。営業利益は240億3,200万円で、前期比145.0%増となりました。
Q7:エリエールは大王製紙のブランドですか?
A7:はい。ティシューペーパー、トイレットペーパー、紙おむつ、フェミニンケア用品などを展開する大王製紙の代表的な家庭紙・衛生用品ブランドです。
2026年11月現在、大王製紙の代表取締役社長執行役員は若林賴房氏です。1984年の入社から約37年を経て2021年4月に社長へ就任し、2025年6月以降も同じ社長職を継続しています。
若林氏の特徴は、新聞用紙・洋紙の営業とホーム&パーソナルケア事業の双方を経験した生え抜きの経営者であることです。歴代社長との比較では、創業家を中心とした時代から、社内で事業経験を積んだ経営者がトップを担う体制への変化が見えてきます。
一方、大王製紙の経営を評価する際には、社長の経歴だけでなく、次の3点を確認することが大切です。
- 収益力:売上高だけでなく、営業利益率や利益改善の持続性を見る。
- 事業構造:エリエールを中心とした家庭紙事業と、三島工場を基盤とする紙・板紙事業の両方を評価する。
- 経営体制:2026年の役員人事や第5次中期事業計画の進捗を確認する。
【プロの結論】
若林氏の経営を判断するうえで最も重要なのは、2026年3月期に実現した利益回復を、一時的なコスト削減に終わらせず、持続的な収益力へ転換できるかという点です。
大王製紙には、エリエールという消費者向けブランドと、三島工場を中心とする大規模な製造基盤があります。しかし、原材料価格やエネルギー費、海外事業の競争環境など、解決すべき課題も残されています。
今後の注目点は、若林社長のもとで国内家庭紙の高付加価値化、海外事業の収益改善、紙・板紙事業の生産効率向上がどこまで進むかです。社長の経歴と2026年の経営数字を併せて見ることが、大王製紙の現在地を正しく理解するための判断基準になります。