2021年1月1日に開催された第65回全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝2021)は、富士通が4時間48分52秒で優勝を飾りました。総合2位はトヨタ自動車(4時間49分55秒)、3位は旭化成(4時間50分32秒)。前回大会で出場を逃した富士通が、12年ぶり3度目の栄冠を手にした大会です。
群馬県庁を発着点とする7区間100kmのレースには、全国の予選を勝ち抜いた36チームが出場。中村匠吾、鈴木健吾、浦野雄平ら富士通の選手が勝負どころで力を発揮し、4連覇中だった旭化成を抑えました。ここでは、2021年大会の総合順位・全36チームのタイム・7区間の区間賞・注目選手の記録を整理し、優勝までのレース展開を振り返ります。
【総合結果】ニューイヤー駅伝2021は富士通が4時間48分52秒で優勝

第65回全日本実業団対抗駅伝競走大会は、2021年1月1日午前9時15分にスタートしました。全国6地区の予選を勝ち抜いた36チームが、実業団日本一の座を懸けて群馬県内の100kmを走りました。
優勝したのは富士通。最終的なタイムは4時間48分52秒でした。2位のトヨタ自動車に1分03秒、3位の旭化成に1分40秒の差をつけています。
富士通にとって、この優勝は特別な意味を持っていました。2009年以来、実に12年ぶりとなる優勝であり、通算3度目のタイトル獲得です。前年の2020年大会では予選を突破できず、本大会への出場を逃していました。悔しさを経て臨んだ2021年大会で、チーム一丸となって結果を残しました。
一方、前年まで4連覇を達成していた旭化成は3位。5連覇には届きませんでした。トヨタ自動車が旭化成を上回って2位を確保し、上位3チームによる激しい優勝争いに決着がつきました。
【上位チーム比較】富士通・トヨタ自動車・旭化成の明暗
上位3チームの結果を比較すると、富士通の勝因と、トヨタ自動車・旭化成が追い上げ切れなかった理由が見えてきます。
| チーム | 総合タイム | 富士通との差 | 注目ポイント |
|---|---|---|---|
| 富士通 | 4時間48分52秒 | 優勝 | 中村匠吾が4区で首位浮上。鈴木健吾、浦野雄平が連続区間賞 |
| トヨタ自動車 | 4時間49分55秒 | 1分03秒 | 5区の服部勇馬が区間賞を獲得 |
| 旭化成 | 4時間50分32秒 | 1分40秒 | 3区の大六野秀畝が区間2位。5連覇を逃す |
富士通の強みは、特定の選手だけに頼らず、長距離区間と終盤区間を含めて安定した走りをつないだことです。1区の松枝博輝が区間賞を獲得し、4区では東京五輪マラソン代表の中村匠吾が勝負を動かしました。
さらに5区の塩尻和也がトップを維持し、6区の鈴木健吾と7区の浦野雄平が連続して区間賞を獲得。終盤に追い上げるライバルチームを振り切りました。
トヨタ自動車も決して一方的に敗れたわけではありません。5区の服部勇馬が46分23秒で区間賞を獲得し、最終的には4時間49分55秒でフィニッシュ。旭化成との競り合いを制して2位を確保しました。
旭化成は前年までの王者として優勝候補に挙げられていましたが、今回は3位。総合タイムでは富士通から1分40秒遅れました。富士通の後半の安定感が、王座交代を決定づけたポイントでした。
【全36チーム】ニューイヤー駅伝2021の総合順位とタイム一覧
2021年大会における全36チームの総合順位とフィニッシュタイムは以下のとおりです。上位8チームが入賞し、富士通、トヨタ自動車、旭化成がトップ3を占めました。
- 1位 富士通:4時間48分52秒
- 2位 トヨタ自動車:4時間49分55秒
- 3位 旭化成:4時間50分32秒
- 4位 日立物流:4時間52分33秒
- 5位 Honda:4時間52分38秒
- 6位 三菱重工:4時間52分45秒
- 7位 JR東日本:4時間53分54秒
- 8位 ヤクルト:4時間54分55秒
- 9位 GMOインターネットグループ:4時間54分58秒
- 10位 SGホールディングスグループ:4時間55分05秒
- 11位 トヨタ自動車九州:4時間55分10秒
- 12位 大阪ガス:4時間55分16秒
- 13位 住友電工:4時間55分26秒
- 14位 九電工:4時間55分27秒
- 15位 トヨタ紡織:4時間55分30秒
- 16位 安川電機:4時間55分36秒
- 17位 黒崎播磨:4時間55分43秒
- 18位 コニカミノルタ:4時間57分08秒
- 19位 NTT西日本:4時間57分10秒
- 20位 埼玉医科大学グループ:4時間57分20秒
- 21位 トーエネック:4時間57分36秒
- 22位 JFEスチール:4時間57分43秒
- 23位 サンベルクス:4時間57分45秒
- 24位 中国電力:4時間57分47秒
- 25位 愛知製鋼:4時間57分50秒
- 26位 マツダ:4時間57分55秒
- 27位 愛三工業:4時間58分14秒
- 28位 中電工:4時間58分38秒
- 29位 中央発條:4時間58分46秒
- 30位 大塚製薬:5時間02分03秒
- 31位 ひらまつ病院:5時間02分14秒
- 32位 戸上電機製作所:5時間03分12秒
- 33位 コモディイイダ:5時間03分39秒
- 34位 YKK:5時間05分03秒
- 35位 NDソフト:5時間05分53秒
- 36位 日本製鉄瀬戸内:5時間21分47秒
特に注目したいのは、4位の日立物流から6位の三菱重工までの接戦です。日立物流は4時間52分33秒、Hondaは4時間52分38秒、三菱重工は4時間52分45秒で、3チームの差はわずか12秒でした。
また、9位のGMOインターネットグループと8位のヤクルトの差は3秒。入賞圏内の8位を巡る争いも最後まで厳しいものでした。総合順位だけでなく、数秒単位の差に目を向けると、実業団駅伝の競争の激しさが分かります。
上記の順位・タイムは大会公式総合リザルトに基づくものです。
【区間賞一覧】ニューイヤー駅伝2021の7区間で最速だった選手
ニューイヤー駅伝は全7区間で構成され、それぞれの区間で最も速いタイムを記録した選手に区間賞が与えられます。2021年大会では富士通が3つの区間賞を獲得しました。
- 1区(12.3km):松枝博輝/富士通 35分28秒
- 2区(8.3km):ベナード・コエチ/九電工 21分53秒
- 3区(13.6km):田村和希/住友電工 37分39秒
- 4区(22.4km):佐藤悠基/SGホールディングスグループ 1時間04分00秒
- 5区(15.8km):服部勇馬/トヨタ自動車 46分23秒
- 6区(12.1km):鈴木健吾/富士通 35分33秒
- 7区(15.5km):浦野雄平/富士通 46分35秒
区間賞の内訳を見ると、富士通が1区・6区・7区の3区間でトップを獲得しています。一方、九電工のベナード・コエチ、住友電工の田村和希、SGホールディングスグループの佐藤悠基、トヨタ自動車の服部勇馬も、それぞれ区間賞を手にしました。
2021年大会で更新された区間記録2021年大会では、2区と3区で記録面でも注目すべき結果が生まれています。
2区のベナード・コエチは21分53秒を記録し、従来の区間記録21分54秒を1秒更新。区間新記録を樹立しました。外国人選手による高速レースが展開される2区で、歴史に残る走りを披露しました。
また、3区の田村和希は37分39秒で区間賞を獲得し、従来の区間記録とタイ記録をマークしました。従来の記録保持者はトヨタ自動車の西山雄介です。
なお、富士通の総合優勝タイム4時間48分52秒は大会新記録ではありません。前年の2020年大会で旭化成が記録した4時間46分07秒が大会記録として残っていました。優勝タイムと大会記録は別の指標である点に注意が必要です。
【レース展開】中村匠吾・鈴木健吾・浦野雄平がつないだ勝利
富士通の優勝を理解するには、7区間の順位変動を追うことが欠かせません。序盤の先行、中盤の首位奪取、そして終盤のリード拡大という流れが、2021年大会の大きな特徴でした。
1区・松枝博輝が区間賞で好スタート富士通の1区を任された松枝博輝は、12.3kmを35分28秒で走破。旭化成の茂木圭次郎に1秒差をつけて区間賞を獲得しました。
序盤は有力チーム同士が互いの動きをうかがう展開でしたが、松枝は最後まで集中力を維持。富士通にとって理想的なスタートとなりました。
2区・ベナード・キメリから3区・坂東悠汰へ2区のベナード・キメリは22分21秒で区間13位。富士通の通過順位は6位となり、序盤で一度順位を落とします。
しかし、ここで優勝争いから脱落することはありませんでした。3区の坂東悠汰が13.6kmを38分03秒で走り、区間6位の成績でチームを総合3位まで押し上げます。通過タイムは1時間35分52秒でした。
この段階では旭化成が総合2位につけ、富士通は上位集団の中でトップを追う立場でした。
4区・中村匠吾が最長区間で首位に立つレースの大きな転換点となったのが、22.4kmの最長区間である4区です。
富士通の中村匠吾は、東京五輪マラソン代表としても知られる実力者。1時間04分14秒で区間2位の走りを見せ、チームを総合3位から首位へと押し上げました。
特に終盤のペースアップが重要でした。月刊陸上競技のレース報道によれば、中村は残り約3kmからスパートを仕掛け、先頭に立つことに成功しています。
最長区間で主導権を握ったことが、富士通の優勝に向けた大きな一歩になりました。
5区・塩尻和也がトップを維持5区の塩尻和也は15.8kmを46分38秒で走り、区間3位。区間賞こそ逃したものの、トップの座を守りました。
この区間ではトヨタ自動車の服部勇馬が46分23秒で区間賞を獲得。Hondaの青木涼真も46分24秒で続き、上位チームが力を見せました。
富士通は塩尻の安定した走りによって、6区の鈴木健吾へ先頭で襷を渡します。
6区・鈴木健吾が区間賞でリードを拡大2021年大会の注目選手の一人が、6区を走った鈴木健吾です。
鈴木は12.1kmを35分33秒で走り、区間賞を獲得。トヨタ自動車の青木祐人が35分36秒で2位、旭化成の小野知大が35分37秒で3位と、上位3チームの選手が僅差で続きました。
富士通の公式レースレポートによると、鈴木は富士通入社3年目にして初めて駅伝を走る立場でした。初のニューイヤー駅伝で結果を残し、チームの優勝に大きく貢献したことになります。
鈴木が走り終えた時点で、富士通は2位との差をさらに4秒広げました。最終7区に入る段階では40秒のリードを確保していました。
7区・浦野雄平が逃げ切り、富士通が歓喜のゴール最終7区を任されたのは、國學院大學出身のルーキー、浦野雄平でした。
15.5kmのアンカー区間で、浦野は46分35秒を記録して区間賞を獲得。富士通の2位との差は、走り始めた時点で40秒でした。
富士通の公式レースレポートによれば、4km過ぎには46秒、6kmを過ぎると約50秒、10km手前では1分9秒まで後続との差を拡大。旭化成とトヨタ自動車が追う中でも、安定したフォームを崩さず走り続けました。
最後は右手を高く上げながらフィニッシュ。富士通の総合タイムは4時間48分52秒となり、12年ぶりの優勝が決まりました。
1区の松枝、4区の中村、6区の鈴木、7区の浦野という異なる役割を担った選手たちが、それぞれの区間で力を発揮したことが、この勝利を支えました。
【大会背景】コロナ禍の無観客開催とニューイヤー駅伝2021の特徴
2021年大会は、競技面だけでなく開催環境にも特徴がありました。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、群馬県は大会前から観戦自粛を呼びかけていました。
群馬県の公式発表では、県庁のスタート・フィニッシュ地点や中継所を無観客とし、沿道での観戦も自粛するよう要請。大会運営エリアへの入場も関係者に限定され、通常の駅伝とは異なる環境で実施されました。
そのため、沿道で選手に声援を送る代わりに、テレビなどを通じて応援する形が中心となりました。新春の恒例行事であるニューイヤー駅伝も、感染対策を徹底しながら開催されたのです。
群馬県庁発着の7区間100kmコース大会の舞台となったのは、群馬県庁をスタート・フィニッシュ地点とする全長100kmのコースです。前橋市を起点に、高崎市、伊勢崎市、太田市、桐生市などを経由して県庁へ戻ります。
- 1区:群馬県庁~高崎市役所(12.3km)
- 2区:高崎市役所~前橋市公田町(8.3km)
- 3区:前橋市公田町~伊勢崎市役所(13.6km)
- 4区:伊勢崎市役所~太田市役所(22.4km)
- 5区:太田市役所~桐生市役所(15.8km)
- 6区:桐生市役所~伊勢崎市西久保町(12.1km)
- 7区:伊勢崎市西久保町~群馬県庁(15.5km)
最長区間は4区の22.4kmで、最短区間は2区の8.3kmです。区間によって距離やコースの特徴が異なるため、各チームは選手の持ち味や適性を考慮したオーダーを組む必要があります。
2021年大会で押さえておきたい3つのポイント第一に、富士通の優勝は12年ぶり3度目だったこと。前年の予選敗退を経て、再び日本一の座に戻ったという背景があります。
第二に、旭化成の5連覇が阻止されたことです。4年連続で頂点に立っていたチームが3位に終わり、実業団駅伝の勢力図に変化が生まれました。
第三に、個人記録でも2区の区間新記録と3区の区間タイ記録が誕生したことです。総合順位だけでは見えてこない、各選手の高い競技水準も2021年大会の見どころでした。
【よくある質問】ニューイヤー駅伝2021の結果に関するFAQ
Q1:ニューイヤー駅伝2021の優勝チームとタイムは?
A1:富士通です。総合タイムは4時間48分52秒で、12年ぶり3度目の優勝を果たしました。2位はトヨタ自動車の4時間49分55秒、3位は旭化成の4時間50分32秒です。
Q2:ニューイヤー駅伝2021の全36チームの順位は?
A2:1位富士通、2位トヨタ自動車、3位旭化成、4位日立物流、5位Honda、6位三菱重工、7位JR東日本、8位ヤクルトです。最下位の36位は日本製鉄瀬戸内で、タイムは5時間21分47秒でした。全順位とタイムは本文の一覧で確認できます。
Q3:ニューイヤー駅伝2021の区間賞を獲得した選手は?
A3:1区は松枝博輝、2区はベナード・コエチ、3区は田村和希、4区は佐藤悠基、5区は服部勇馬、6区は鈴木健吾、7区は浦野雄平です。富士通は松枝・鈴木・浦野の3選手が区間賞を獲得しました。
2021年1月1日に開催された第65回全日本実業団対抗駅伝競走大会は、富士通が4時間48分52秒で優勝しました。2位はトヨタ自動車、3位は旭化成。全36チームが競い合った100kmのレースで、富士通が12年ぶり3度目の頂点に立ちました。
勝負の要点は、4区の中村匠吾による首位奪取、5区の塩尻和也によるリード維持、6区の鈴木健吾と7区の浦野雄平による連続区間賞です。とりわけ、初のニューイヤー駅伝で区間賞を獲得した鈴木と、アンカーとして最後までリードを守った浦野の走りは、優勝を象徴する場面となりました。
また、2区の区間新記録や3区の区間タイ記録など、個人の記録面でも見どころの多い大会でした。2026年に2021年大会の結果を振り返る際は、総合順位だけでなく、各区間の記録や順位変動、そして富士通が勝負を決めた中盤から終盤の走りにも注目したいところです。