紙ストローからリサイクルPET製のフタへ変更したことで、環境負荷はどの程度変わるのでしょうか。この問題を考えるには、単純に紙とプラスチックのどちらが環境に優しいかという比較だけでは不十分です。
バージンプラスチックとリサイクルPETの違いバージンプラスチックとは、化石資源由来の原料を新たに使用して製造したプラスチックのことです。一方、リサイクルPETは、使用済みPETボトルなどを回収し、粉砕・洗浄・消毒した再生素材です。
今回の変更では、ストローを別のプラスチック製ストローに戻すのではなく、ストロー自体を不要にしながら、再生素材を使ったフタに切り替えています。
日本マクドナルドが掲げる年間約6,600トンの削減見込みも、こうした包装材全体の見直しによるバージンプラスチック削減量です。新しいフタだけで6,600トン削減するという意味ではありません。
環境対策を評価するときの3つの視点ストローレスリッドを評価する際には、次の3点を分けて考える必要があります。
① 新しい資源の使用量
100%リサイクルPETを採用することで、フタの原料に新たな化石資源由来のプラスチックを使用しない設計になっています。
② 使い捨て製品の総量
ストローを使わない仕組みは、ストローという使い捨て製品そのものを不要にする点で合理性があります。ただし、フタ自体は使い捨てのプラスチック製品です。
③ 使用後の分別とリサイクル
意外と見落とされやすいのが、使用後の処理です。日本マクドナルドの公式FAQによると、ストローレスリッドは家庭で処分する場合、PETボトルと同じ方法ではなく、各自治体のルールに従って処理する必要があります。
素材がリサイクルPETだからといって、使用後のフタをPETボトル回収に出せるとは限りません。ここは消費者が覚えておきたいポイントです。
なお、公開されている公式発表の削減見込みだけでは、紙ストローと新フタの製造・輸送・廃棄まで含めたライフサイクル全体の環境負荷を比較することはできません。環境性能を正確に判断するには、素材だけでなく製造工程や回収後の処理も見る必要があります。
【利用者向け】新しいフタの使い方と注意点

新しいフタはストローを差し込む必要がなく、飲み口を開けてそのまま飲む仕様です。従来のカップと使い方が異なるため、最初は戸惑う人もいる可能性があります。
ストローレスリッドの使い方1. カップを安定した場所に置く。
2. フタの飲み口部分を確認する。
3. 飲み口を開ける。
4. カップを傾けて、そのまま飲む。
5. 飲み終わったら、店舗または自治体の分別ルールに従って処分する。
テイクアウトやデリバリーでは、飲み口が不用意に開かないよう設計されていますが、持ち運ぶ際にはカップを傾けたり、強く押したりしないよう注意しましょう。
どんな人に向いている?新しいフタが使いやすいと感じやすいのは、次のような人です。
- 紙ストローの口当たりが苦手な人
- ストローを使わずに直接飲むことに抵抗がない人
- テイクアウトで飲み物を手軽に飲みたい人
- ストローの保管や持ち運びを減らしたい人
反対に、ストローを使うことが飲みやすさや安全性に関係する人、小さな子ども、口元の動作に制約がある人などは、ストローなしのフタが必ずしも適しているとは限りません。
特に障がいのある人や病気などの事情でストローを必要とする人にとって、ストローは単なる便利グッズではなく、飲食を支える道具です。必要な場合は注文時にスタッフへ相談することが大切です。なお、一般のコールドドリンクで個別のストロー提供にどのように対応するかについては、公式FAQに一律の案内は掲載されていません。
【よくある質問】マック紙ストローに関するFAQ
Q1:マックの紙ストローはいつ廃止されたのですか?
A1:日本マクドナルドは2025年10月27日に提供終了を発表し、11月19日からストローレスリッドを全国の店舗で順次導入しました。紙ストローも順次終了する方針です。
Q2:2026年現在、マックでストローはもらえますか?
A2:はい。ハッピーセットを利用する子ども向けのドリンクや、マックシェイク、マックフィズ、マックフロート、フラッペ、スムージーなどは、公式FAQでストロー付きの提供が案内されています。
Q3:新しいストローレスリッドの素材は何ですか?
A3:使用済みPETボトルを再生した100%リサイクルPETです。新品の化石資源由来プラスチックを原料とするフタではありません。
Q4:紙ストローを廃止した理由は何ですか?
A4:バージンプラスチック削減を目的とした包装材の見直しの一環です。紙ストローの使い心地に対する不満も報道されていましたが、会社の公式発表では新しい環境対策として説明されています。
Q5:新しいフタは環境に優しいのですか?
A5:リサイクルPETを100%使用している点は、バージンプラスチック削減につながる特徴です。ただし、プラスチック製品であることに変わりはなく、製造から廃棄までの環境負荷を総合的に比較する必要があります。
Q6:新しいフタはPETボトルと一緒に捨てていいですか?
A6:いいえ。日本マクドナルドの公式FAQでは、家庭で処分する場合は各自治体の分別ルールに従うよう案内されています。PETボトルと同じ回収方法とは限りません。
Q7:ストローが必要な障がい者や高齢者はどうすればいいですか?
A7:ストローを必要とする事情がある場合は、注文時に店舗スタッフへ相談してください。公式FAQでは一部の商品についてストロー付き提供が明記されていますが、通常のコールドドリンクに関する個別対応の詳細は、店舗への確認が必要です。
マクドナルドの紙ストローをめぐる一連の変更は、2022年の紙製ストロー導入から、2024年のストローレスリッド試験導入、2025年の全国展開発表へと進んできました。
2026年11月現在、公式に案内されている基本方針は、通常のコールドドリンク用カップにリサイクルPET製のストローレスリッドを採用し、紙ストローの提供を順次終了するというものです。一方、シェイクや子ども向けなど、ストローを引き続き使用する商品もあります。
今回のニュースから読み取れる要点は3つあります。
第一に、環境対策は素材を紙に変えるだけでは完結しないこと。リサイクル素材の利用や使い捨て製品の削減、使用後の適切な分別まで含めて評価する必要があります。
第二に、消費者の使いやすさも商品設計の重要な要素であること。紙ストローへの不満は、環境配慮と日常的な利便性をどう両立するかという課題を浮き彫りにしました。
第三に、誰もが利用できる環境を整えること。ストローを必要とする人にとって、その存在は生活上の大切なサポートです。一般利用者の利便性だけでなく、障がいのある人や子どもなど、多様な利用者への配慮も欠かせません。
マック紙ストローの廃止は、単に紙からプラスチックへ戻ったという話ではありません。再生素材の活用とストロー不要の設計を組み合わせた、容器包装の転換です。今後の環境対策を見極める際も、話題性や素材のイメージだけで判断せず、実際の削減量、使いやすさ、リサイクルの仕組み、利用者への配慮を総合的に確認することが大切です。
2026年以降も、マクドナルドの包装材や環境対策の見直しは、外食産業全体のサステナビリティを考えるうえで注目すべきテーマとなっています。