コミケ雲は、会場の天井付近に白い塊や霧のようなものが見えるという特徴から、写真や目撃談とともに語られてきた。
ただし、写真だけでコミケ雲と断定するのは難しい。展示ホール内で撮影された白いものには、照明の反射、撮影時の露出、空調の吹き出しによる霧状の表現など、別の要因が関係している可能性もある。
写真や目撃情報を検証するときのポイントコミケ雲の写真を見かけた場合は、次の点を確認すると情報の信頼性を判断しやすい。
- 撮影年月日: 2013年のC84なのか、それ以降の開催なのか。
- 撮影場所: 東展示棟なのか、西展示棟なのか、別の施設なのか。
- 撮影状況: 天井付近に白いものが浮遊しているのか、単なる照明や煙なのか。
- 投稿の出典: 元の撮影者や当時の報道記事が確認できるか。
- 第三者による確認: 準備会や報道機関による裏付けがあるか。
特に重要なのは、写真の存在と現象の原因を分けて考えることだ。白い霧のようなものが写っていても、それだけでは水蒸気の凝結によるものなのか、別の現象なのかを確定できない。
2013年の目撃情報はどこまで裏付けられている?この点では、2018年のオリコンニュースによるコミックマーケット準備会への取材が重要な資料となる。
同記事では、2013年夏の東展示棟で雲状のものが発生したことを準備会が確認したと報じている。つまり、少なくともC84に関する目撃情報には、主催者側の確認という裏付けが存在する。
一方、写真に写った水滴の粒径や化学的な組成、発生時の温度・湿度を分析した科学的な調査結果は、今回確認できた公開資料には見当たらない。現象の存在が確認されていることと、発生メカニズムが完全に実証されていることは別の問題だ。
したがって、コミケ雲については「実際に発生した雲状現象」と「その原因について科学的に考えられる説明」を分けて理解するのが適切だ。
【コミケ雲は2026年現在も発生する?】最新のコミケ事情から検証

2026年10月30日現在、コミケ雲をめぐる状況を考えるうえで参考になるのが、2026年8月15日・16日に開催されたコミックマーケット108(C108)だ。
コミックマーケット準備会が公開したC108アフターレポートによると、2日間の入場者数は各日13万人、合計26万人。サークルスペース数は約2万3,000、出展企業数は121社だった。
ただし、C108は2013年のC84と開催条件が大きく異なっていた。東京ビッグサイトの改修工事により東4~6ホールが使用できず、開催日数も3日間から2日間に変わっていたためだ。単純に参加者数だけを比べて、会場の混雑度やコミケ雲の発生しやすさを判断することはできない。
2026年のC108は猛暑を回避コミックマーケット準備会の公式年表では、C108は2日間とも断続的な雨に見舞われたものの、幸いにも猛暑は回避した開催として記録されている。
また、C108の公式アフターレポートには、コミケ雲が発生したという記載は見当たらない。ただし、これは現象が絶対に発生しなかったことを意味するものではない。公式に記録されたC84のような事例と、2026年の開催状況は区別する必要がある。
2026年の会場環境と熱中症対策C108では、東4~6ホールの改修工事に伴い、会場の使用範囲や参加者の動線が変更された。準備会は一般参加者の待機時間や移動距離が長くなる可能性を踏まえ、熱中症への注意を呼びかけていた。
公式の熱中症対策案内では、水分・塩分の補給、休憩、身体の冷却が重視されている。夏コミの安全対策は、会場内に白い雲が出るかどうかだけで判断するものではない。
なお、次回のコミックマーケット109(C109)は、2026年12月29日から31日まで東京ビッグサイトで開催予定となっている。冬開催であるため、夏コミ特有の高温多湿環境とは条件が異なる。
2026年時点で分かっていること・分かっていないこと
C84での発生
コミックマーケット準備会の公式年表と2018年の取材報道に記録がある。
水蒸気の凝結という説明
温度、湿度、露点、凝結核によって白い水滴が生じる原理と整合する。
C84当日の詳細な発生条件
会場内の詳細な温湿度測定値や空調記録による原因分析は確認できない。
C108での発生
公開されたアフターレポートには発生の記載がない。未発生と断定できる資料ではない。
【プロの結論】コミケ雲は珍しい光景ではなく会場環境を考える手掛かり
コミケ雲が興味深いのは、単に大勢の人が集まると不思議な雲ができるという話ではない点にある。
本質は、巨大な屋内空間に人間が大量に集まり、呼吸や発汗による水分、体温による熱、空調の冷却作用が同時に作用することだ。普段は意識しない室内の温度差や水蒸気の動きが、目に見える形で現れた現象として理解できる。
コミケ雲を見たら危険なのか?2018年のオリコンニュースでは、準備会への取材を通じて、コミケ雲が発生した場合は「危険シグナル」として認識する必要があると紹介されている。
これは、雲そのものが有毒だったり、触れるだけで危険だったりするという意味ではない。高温多湿で人が密集し、空調環境にも負荷がかかっている可能性を知らせるサインとして捉えるべきだということだ。
同記事によると、C84の翌年にあたるC86では、東地区の救護室の場所を見直し、場外救護テントにもスポットクーラーを導入するなど、救護体制の改善が行われた。コミケ雲という現象が、イベントの安全管理を考える契機にもなったわけだ。
夏コミ参加者が覚えておきたい判断基準コミケ雲を見つけることよりも、自分自身の体調や周囲の環境を確認することが大切だ。
- 会場が蒸し暑く、汗が止まらない場合は無理をしない。
- 喉が渇く前から水分を補給し、必要に応じて塩分も摂取する。
- 体調が悪くなったら、早めにスタッフへ知らせる。
- めまいや吐き気、頭痛、意識の異常などがあれば、速やかに救護を求める。
- 会場内の混雑や空調状況に応じて、休憩や移動を優先する。
特に、コミケ雲が見えないからといって安全とは限らない。白い霧が発生していなくても、高温多湿の環境では熱中症の危険がある。反対に、白い霧が見えたという理由だけで、直ちに有害物質や火災の煙と決めつけることもできない。
コミケ雲とは?よくある質問(FAQ)
Q1:コミケ雲は本当に存在するのですか?
A1:実際に発生したことが確認されている。コミックマーケット準備会の公式年表には、2013年のC84で館内にコミケ雲が発生したと記録されており、2018年には準備会も東展示棟上部の雲状現象を確認したと報道されている。
Q2:コミケ雲の正体は参加者の汗なのですか?
A2:汗そのものではない。汗の蒸発や呼吸によって空気中に増えた水蒸気が冷却され、微細な水滴となって浮遊するという仕組みが有力な説明だ。ただし、2013年当日の水分の発生源や割合まで科学的に特定されているわけではない。
Q3:コミケ雲は東京ビッグサイトの東展示ホールだけで発生するのですか?
A3:東展示棟での発生は2013年の事例として確認されているが、東展示棟だけに限定される現象ではない。人が密集し、湿った空気と冷たい空気が混ざる環境であれば、ほかの屋内施設でも似た現象が起こる可能性がある。
Q4:コミケ雲が発生する温度や湿度の具体的な基準はありますか?
A4:コミケ雲専用の確定した温度・湿度基準は公表されていない。一般的には、空気中の水分量が多く、冷却によって露点に達し、凝結核が存在することが重要となる。
Q5:2026年のコミケでも雲は発生しましたか?
A5:2026年8月のC108については、準備会の公開アフターレポートにコミケ雲の発生記録はない。2日間とも断続的な雨に見舞われ、猛暑は回避された開催だった。ただし、記録がないことだけで発生の有無を完全に判断することはできない。
Q6:コミケ雲が見えたら会場から避難する必要がありますか?
A6:雲状のものを見ただけで一律に避難する必要があるとは限らない。ただし、会場の高温多湿や体調不良が疑われる場合は、無理をせずスタッフに相談し、救護を受けることが大切だ。煙や異臭など異常がある場合は、スタッフの案内や会場の安全指示に従いたい。
コミケ雲とは、夏のコミックマーケット会場で目撃された、天井付近に浮かぶ白い霧状の現象を指す通称だ。
2013年のコミックマーケット84では、3日間で延べ59万人が参加し、全日猛暑日という厳しい暑さの中で館内にコミケ雲が発生した。コミックマーケット準備会の公式年表と、2018年のオリコンニュースによる取材報道からも、その存在を確認できる。
発生の仕組みとしては、参加者の汗や呼吸によって増えた水蒸気を含む空気が冷やされ、露点に達して微細な水滴になるという説明が科学的に合理的だ。ただし、C84当日の詳細な温湿度や空調の測定記録がないため、具体的な発生原因まで完全に解明されたわけではない。
2026年のC108では猛暑が回避され、公式アフターレポートにもコミケ雲の発生は記録されていない。コミケ雲は毎年必ず現れる名物ではなく、特定の気象・室内環境が重なったときに起こり得る現象として理解するのが正確だ。
そして、最も大切なのは、コミケ雲を珍しい光景として楽しむだけでなく、その背景にある高温多湿や人の密集という環境にも目を向けること。夏コミを安全に楽しむためには、雲が見えるかどうかにかかわらず、水分補給、休憩、体調管理を徹底したい。