「ダッダーン!ボヨヨン、ボヨヨン!」という強烈な掛け声を覚えているだろうか。1991年にテレビで放送され、当時のお茶の間に大きなインパクトを残したこのフレーズは、ピップフジモト(現・ピップ株式会社)の栄養ドリンク「ダダン」のテレビCMから生まれたものだ。
CMに出演していたのは、アメリカ出身の女子プロレスラー、レジー・ベネット。さらに振り付けを担当したのは、指パッチンの芸でも知られた芸人のポール牧だった。このCMは1991年の新語・流行語大賞で大衆部門の銀賞を受賞。2023年には、なかやまきんに君が出演する日清食品「カップヌードル 担担」のCMでもオマージュされ、再び話題を集めた。
【元ネタを解説】ダッダーンぼよよんは1991年のピップ「ダダン」のCM!

「ダッダーンぼよよん」の正体は、ピップフジモトが1991年に制作した栄養ドリンク「ダダン」のテレビCMである。
映像の舞台は、アマゾンの奥地を思わせる水辺。水の中から筋肉質の女性が勢いよく姿を現し、「ダッダーン!」と叫んだあと、身体を大きく揺らしながら「ボヨヨン、ボヨヨン」と続ける。
商品説明を長々と行う一般的な栄養ドリンクのCMとは異なり、出演者の存在感と独特の動き、耳に残る言葉を前面に押し出した演出だった。
放送ライブラリーの公式記録にも、このCMは「ダダン『アマゾン ボヨヨンタイプ』」という作品名で登録されている。
記録されている基本情報は次のとおりだ。
- 制作年:1991年
- 作品名:ダダン「アマゾン ボヨヨンタイプ」
- 放送時間:15秒
- 広告主:ピップフジモト
- 広告会社:電通
- 制作会社:マザース
- 出演者:レジー・ベネット
注目したいのは、わずか15秒という短い時間で、商品名とフレーズ、出演者の動きが一体化していることだ。
視聴者に商品の特徴を細かく説明するよりも、まず映像と音を記憶させる。テレビCMが家庭内の共通体験として機能していた1990年代ならではの広告表現だった。
また、このCMは第31回ACC CMフェスティバルのテレビCM部門で優秀賞を受賞している。単なる珍しいCMではなく、広告作品としても評価された映像だった。
【出演者と制作秘話】レジー・ベネットとポール牧の関係とは?
「ダッダーンぼよよん」の印象を決定づけたのは、出演者と振り付けの組み合わせである。
テレビ画面に登場した女性は、外国人モデルや女優ではない。実際にリングで戦っていたプロの女子プロレスラーだった。
レジー・ベネットはどんな女子プロレスラー?レジー・ベネット(Reggie Bennett)は、1961年1月24日生まれのアメリカ出身の元女子プロレスラー。
CMでは、鍛え上げられた肉体と豪快な動きを披露。一般的な広告タレントとは異なる迫力が、映像の強烈な印象につながった。
その後、日本の女子プロレス界でも活動し、WWWAオールパシフィック王座を獲得するなど実績を残している。
レジー・ベネットが日本で広く知られるきっかけの一つになったのが、このダダンのCMだった。
振り付けを担当したのはポール牧もう一人の重要人物が、芸人のポール牧だ。
ポール牧は指パッチンの芸で知られた人物だが、実はダダンのCMでも振り付けを担当していた。
この事実は、2018年の週刊FLASHによるレジー・ベネットへの取材記事でも紹介されている。
同記事でベネットは、撮影現場について次のように振り返っている。
「とにかく、撮影現場が楽しかったのを覚えてる」
加えて、最初はCMの演出に驚いたものの、強いインパクトを出すために取り組んだという趣旨のエピソードも語っている。
つまり、あの独特の動きは出演者が偶然に行ったものではなく、振り付けを含めた制作上の演出によって生まれたものだった。
CMの制作関係者と役割を整理放送ライブラリーの作品データと当時の取材報道を照合すると、制作に関わった人物や企業の関係が見えてくる。
| 役割 | 人物・企業 | 確認できる関係 |
|---|---|---|
| 広告主 | ピップフジモト | 栄養ドリンク「ダダン」を広告 |
| 広告会社 | 電通 | 広告企画を担当 |
| 制作会社 | マザース | CM映像の制作 |
| 出演者 | レジー・ベネット | 女子プロレスラーとして出演 |
| 振り付け | ポール牧 | 独特の動きを振り付け |
| ディレクター | 関谷宗介 | 放送ライブラリーの制作スタッフ記録に掲載 |
| 企画・コピー | 堀井博次・田井中邦彦・石井達矢 | 企画およびコピー担当として記録 |
特に興味深いのは、出演者のレジー・ベネット自身が、当初は演出に驚いたと振り返っている点だ。
プロレスラーの身体的な迫力と、ポール牧によるコミカルな振り付け。この異なる要素が組み合わさったことで、通常の栄養ドリンク広告とは一線を画す映像が完成した。
【商品と流行語大賞】ダダンは何の飲み物?銀賞受賞の真相
ダダンは滋養強壮・栄養補給を目的としたドリンクCMの強烈な印象から、商品そのものを忘れてしまった人も少なくないかもしれない。
ダダンは、ピップフジモトが販売していた滋養強壮・栄養補給を目的とするドリンク剤である。
CMではアマゾンを思わせる映像と「ボヨヨン」という言葉が印象に残るが、商品としては肉体疲労時などの栄養補給を訴求するものだった。
後年には「ダダンⅡ」という製品も登場している。医薬品情報に掲載されているダダンⅡは、50mLのドリンク剤で、エゾウコギ、インヨウカク、ハゲキテンなどの生薬成分やタウリン、ビタミン類を配合した第二類医薬品として登録されている。
ただし、1991年の初代ダダンと後年のダダンⅡは、製品情報を区別して理解する必要がある。また、医薬品情報への掲載と、2026年現在の店頭在庫や販売継続は同じ意味ではない。
1991年の新語・流行語大賞で大衆部門銀賞このCMの影響力を示す出来事が、1991年の新語・流行語大賞での受賞だ。
「ダダーン ボヨヨン ボヨヨン」は、同年の大衆部門・銀賞を獲得した。
受賞者として記録されているのは、ピップフジモト株式会社の代表取締役社長だった松浦義二氏である。
ここで注意したいのは、年間大賞そのものを受賞したわけではないという点だ。
1991年の年間大賞は、チャーリー浜の「…じゃあ〜りませんか」。一方、「ダダーン ボヨヨン ボヨヨン」は大衆部門の銀賞に選ばれている。
つまり、流行語として社会に浸透したことを示す賞であり、年間大賞と混同しないことが大切だ。
なぜCMの一言が流行語になったのかこのフレーズが記憶に残った理由は、言葉の意味よりも音と映像の組み合わせにある。
「ダッダーン」という力強い発声の後に、「ボヨヨン、ボヨヨン」という対照的で柔らかな響きが続く。加えて、その言葉に合わせて出演者が身体を動かすため、耳だけでなく目にも記憶が残る。
当時はテレビCMを家族や学校の友人と同じ時間帯に見る機会が多く、印象的なフレーズが日常会話や子ども同士の遊びに取り入れられやすかった。
商品名を知らなくても、フレーズだけを覚えている人がいるのは、広告の記憶が商品情報より先に独立して広がったためだと考えられる。
【レジー・ベネットの現在】引退後の仕事と1991年のCM動画を見る方法
2001年3月に日本での現役生活を終えるCM出演後も、レジー・ベネットは女子プロレスラーとして日本で活動した。
週刊FLASHのプロフィールによると、WWWAオールパシフィック王座を獲得し、2001年3月に日本での試合を最後に引退している。
その後はアメリカに戻り、プロレスとは異なる仕事に就いた。
引退後はアメリカのホームセンターで管理職に2018年のSmart FLASHの取材では、ベネット本人がミシシッピ州でホームセンターのスーパーバイザーとして働いていることを明かしている。
さらに2019年11月のデイリースポーツの報道では、TBS系「爆報!THEフライデー」に出演した際の近況が紹介された。
報道によると、ベネットはアメリカの大手ホームセンターチェーン「ホーム・デポ」で長く勤務し、50人の部下を束ねる責任者になっていたという。
プロレスラーとして活躍した後、一般企業で管理職として働くというキャリアの変化は興味深い。
なお、これらは2018年から2019年にかけて報じられた情報であり、2026年現在の勤務先や具体的な生活状況を新たに示す情報とは区別する必要がある。
ダダンのCM動画はどこで見られる?1991年の映像を探している人にとって、特に参考になるのが公益財団法人放送番組センターが運営する放送ライブラリーだ。
同施設の公式データベースには、次の作品が登録されている。
- 作品名:ダダン「アマゾン ボヨヨンタイプ」
- 番組ID:A22889
- 制作年:1991年
- 映像時間:15秒
- 出演者:レジー・ベネット
放送ライブラリーはテレビ番組やCMを保存・公開する施設で、視聴ブースでは番組IDを入力して作品を探すことができる。
そのため、当時のCMを資料として確認したい場合は、作品名だけでなく番組ID「A22889」を控えておくと探しやすい。
動画共有サイトにも1991年のダダンCMを紹介する投稿が存在するが、投稿者によって映像の画質や収録状態は異なる。オリジナルの制作情報まで確認したい場合は、放送ライブラリーの公式記録が有力な手掛かりになる。
【2023年に再注目】日清カップヌードル担担となかやまきんに君のパロディ
1991年のCMが再び話題になった大きなきっかけは、2023年8月30日に公開された日清食品「カップヌードル 担担」のテレビCMだった。
出演したのは、筋肉芸人として知られるなかやまきんに君。
「ダダン」が「タンターン」に変わったオマージュCM2023年のCMでは、ジャングルの沼のような場所から、なかやまきんに君が姿を現す。
そして「タンターン!」という掛け声とともに、商品に含まれる具材の食感を表現する「ザクザク」「コリコリ」といった言葉を繰り返す。
水の中から登場する構図、独特のポーズ、繰り返されるフレーズなど、1991年のダダンCMを思わせる演出が随所に盛り込まれていた。
当時のCMを知る人にとっては、まさに懐かしさを刺激する仕掛けだった。
商品名と食感を使った言葉遊び日清食品の2023年8月21日付の公式ニュースリリースによると、「カップヌードル 担担」は8月28日に全国発売された商品だ。
商品の特徴は、ねりゴマのコクと花椒の辛さ、ピーナッツバターの香りを生かした担担スープ。そして、カシューナッツやザーサイなどによる食感である。
CMでは、カシューナッツの「ザクザク」とザーサイの「コリコリ」が表現の中心になっている。
「タンタン」と「ダダン」という商品名の響きの近さも、元ネタを思い出させるポイントだ。
食品業界専門メディアのフードウイークリーWEBも、このCMについて、1991年のダダンを思わせる衣装や登場方法、ポーズ、音程を取り入れた演出として紹介している。
なぜ30年以上前のCMが再び話題になったのか2023年のCMが興味深いのは、単純に昔の映像を再現しただけではない点だ。
1991年のCMは、レジー・ベネットというプロレスラーの身体的なインパクトと、ポール牧の振り付けによる独特の動きが中心だった。
一方、2023年版では、なかやまきんに君の筋肉キャラクターと、商品名・具材の食感を組み合わせている。
つまり、元のCMの構造を残しながら、現在の商品を訴求する表現に置き換えているのだ。
当時を知る世代には懐かしい広告として、知らない世代には独特の映像として楽しめる。世代を超えて反応を引き出せる点が、このオマージュCMの強みだった。
2023年8月30日のデイリースポーツの記事でも、カップヌードルの公式SNSに寄せられた視聴者の反応として、懐かしさを感じるコメントが複数紹介されている。
【誤解を整理】ダッダーンぼよよんについて知っておきたい事実
このCMはフレーズだけが独立して有名になったため、人物や商品、受賞歴について混同されることもある。最後に、よくある疑問を整理しておこう。
誤解1:ダダンはピップエレキバンのCM?違う。ピップフジモトが広告主だった点は共通するが、ダダンは栄養ドリンクの商品名である。ピップエレキバンそのものを宣伝したCMではない。
誤解2:レジー・ベネットはCM専門のタレント?違う。レジー・ベネットは実際に女子プロレスラーとして活動していた人物で、プロレスのタイトル獲得歴もある。CM出演は彼女の活動の一部だった。
誤解3:1991年の流行語大賞で年間大賞を獲得した?正確には大衆部門の銀賞である。年間大賞の「…じゃあ〜りませんか」とは別の賞だ。
誤解4:2023年のカップヌードルCMは初代ダダンの復刻版?商品は別物である。日清食品の「カップヌードル 担担」のCMが、ピップのダダンCMを思わせる演出を採用したものだ。1991年の商品の復刻販売を意味するものではない。
【ダッダーンぼよよんに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:ダッダーンぼよよんは何のCMですか?
A1:1991年にピップフジモトが制作した栄養ドリンク「ダダン」のCMです。レジー・ベネットが水の中から登場し、「ダッダーン!ボヨヨン、ボヨヨン」と叫ぶ演出で知られています。
Q2:ダダンのCMに出演していた女性は誰ですか?
A2:アメリカ出身の元女子プロレスラー、レジー・ベネットです。2001年3月に日本での試合を最後に引退し、2018年の取材ではアメリカのミシシッピ州でホームセンターのスーパーバイザーとして働いていると紹介されました。
Q3:ダダンのCMの振り付けは誰が担当しましたか?
A3:芸人のポール牧です。2018年の週刊FLASHによるレジー・ベネットへの取材記事でも、ポール牧が振り付けを担当したことが紹介されています。
Q4:ダッダーンぼよよんは流行語大賞を受賞しましたか?
A4:はい。1991年の新語・流行語大賞で大衆部門の銀賞を受賞しています。受賞者はピップフジモトの代表取締役社長だった松浦義二氏です。
Q5:なかやまきんに君のカップヌードルCMと関係がありますか?
A5:あります。2023年8月30日に公開された日清食品「カップヌードル 担担」のCMは、1991年のダダンCMを思わせる構図やポーズを取り入れたオマージュ作品です。
Q6:1991年のダダンCM動画はどこで確認できますか?
A6:放送ライブラリーの公式データベースで作品情報を確認できます。作品名は「ダダン『アマゾン ボヨヨンタイプ』」、番組IDはA22889です。施設の視聴ブースで作品を探す際にも利用できます。
「ダッダーン!ボヨヨン、ボヨヨン」の元ネタは、1991年にピップフジモトが制作した栄養ドリンク「ダダン」のテレビCMだった。
出演者は女子プロレスラーのレジー・ベネット、振り付けはポール牧。15秒という短い映像に、力強い身体表現と独特のフレーズを詰め込んだ作品は、1991年の新語・流行語大賞で大衆部門の銀賞を受賞するほどのインパクトを残した。
加えて、放送ライブラリーには当時のCMが正式に収蔵され、制作会社や出演者、制作スタッフなどの情報も記録されている。
2023年には、なかやまきんに君が出演した日清食品「カップヌードル 担担」のCMによって再び注目された。元の映像を知る世代には懐かしく、初めて見る世代には新鮮に映るという、時代を超えた広告の面白さも示している。
このCMが長く記憶されている理由は、単に奇抜だったからではない。出演者、振り付け、言葉、映像演出が一体となり、わずか15秒で視聴者の記憶に残る広告を作り上げたからだ。
1991年のテレビCMを振り返るとき、「ダッダーンぼよよん」は、商品広告が流行語や世代共通の記憶にまで発展した代表的な事例として、今後も語り継がれていくだろう。
主な参照資料・報道: 放送ライブラリー公式記録、Smart FLASH(2018年11月)、デイリースポーツ(2019年11月・2023年8月)、日清食品公式ニュースリリース、電撃オンラインの1991年流行語大賞記録、フードウイークリーWEB。